「SEALDs」の登場が「若者の政治参加」に与えた影響
――国政選挙としては3度目のネット選挙を迎え、SNSなどで発信する政党や候補者も増えました。こうした動きが、若い有権者にどのような影響を与えていると感じますか。
桑原: ネット選挙の影響で、私たちが入手できる情報量は一気に増えました。一方で、多くの政党が様々な政策について発信しているので、情報の取捨選択は確実に難しくなりましたね。また、18歳未満はSNSで選挙情報を「拡散」することが公職選挙法で禁止されています。そうした点は高校の授業などでもよく注意されるので、学生はSNSで選挙について調べることを「敬遠している」とも聞きます。
――ネット選挙の影響で「情報の取捨選択が難しくなる」という点、何かアドバイスしていることはありますか。
桑原: 若者に対しては、安保法案など「自分に遠くて内容も難しい政策」について考え過ぎることはあまり勧めていません。それよりも、「アルバイトの時給が上がるのはどの政党だろう」「就職しやすくなるのはどこだろう」などと、自分に関係のある部分だけで比較するのも「立派な投票」だと伝えています。
――最後になりますが、15年夏に安保法案に反対するデモを続けた学生団体「SEALDs(シールズ)」など、デモという形で政治に参加する若者が注目を集めました。こうした動きが、ivoteの活動に何か影響を与えたと感じたことはありますか。
桑原: 「SEALDs」のような団体が登場したことで、政治自体に関する関心が高まったのは確かだと思います。ですが、「政治系の団体は危ない」という印象を持つ人が増えたとも感じます。実際、ivoteの入会者が目に見えて少なくなった時期もありました。ですが、あくまでivoteは不偏不党、中立な運営をモットーにしています。「SEALDs」の登場を受けて、私達としても「デモじゃない政治参加」を強く訴えるようになりましたね。
桑原稜さん プロフィール
くわはら・りょう 兵庫県生まれ。学習院大学経済学部在籍。高校時代に「アジアの民主化」について世界史教師から学び、選挙や投票率の問題に興味を持つ。ivote東京の活動には学習院に入学する前から参加しており、15年春から代表を務める。