参院選がまもなく公示され、選挙戦が始まる。選挙権を「18歳以上」に引き下げた改正公職選挙法が2016年6月19日に施行されて以降、初の国政選挙となる。あまり表面化しないものの、選挙の裏側では、政党や候補者の多くが宗教団体の支持や支援を得ようと懸命だ。
J-CASTニュースでは今回の参院選について、宗教団体・法人がどの政党を支持しているか、などを聞くアンケートを実施した。対象は、若い人もメディアなどを通して名前を聞いたことがありそうな10団体を編集部が任意に選んだ。
支持政党を明確にしたのは、10団体中2団体
主な質問項目は、(1)支持する政党とその理由、(2)重視する政策、(3)憲法改正への姿勢、の3つ。いくつか選択肢を示して回答を求めた。6月9日から質問用紙の送付を始め、本日20日昼までに、「『回答なし』という答えでよい」という対応も含め、10団体すべての回答が確認できた(下記に登場する団体・法人名のあとのカッコ内は信者数。文化庁「宗教年鑑」2015年版か、該当団体公式サイトの公称数によった)。
支持政党を明確にしたのは2団体。創価学会(827万世帯)は「公明党」と、また、幸福の科学(年鑑と公式サイトでは確認できず)は「幸福実現党」と回答した。
「支持政党なし」と答えたのは、浄土真宗本願寺派(西本願寺、792万6894人)と、天理教(116万9744人)、立正佼成会(282万6297人)。ただ、西本願寺は、選挙の「被推薦者」を決める際には、「公職選挙宗門推薦基準」(*メモ)に沿って対応するとも明かした。
また、先日(6月9日)、公式サイト上で「(今回の参院選では)与党とその候補者を支持しない」との文書を公表した生長の家(52万1100人)は、公表文書と同様の回答をした上で「(支持政党は)決めていない」とした。
関係が深い政治団体の存在
「回答なし」は、真宗大谷派(東本願寺、320万4160人)のほか、神社本庁(7977万411人)、世界平和統一家庭連合(旧統一教会、「世界約300万人」)。
神社本庁については、関係が深い政治団体として神道政治連盟が知られ、神社本庁サイトの「関係団体一覧」では、上から2番目に同連盟が紹介されている。同連盟のサイトをみると、トップページの右枠に、自民党の女性参議院議員2人のホームページへのリンクが、それぞれ張られている。また、同連盟サイトにある神道政治連盟国会議員懇談会のページには、メンバーとして安倍晋三首相の名前も載っている。
霊友会(134万703人)の回答は「政治団体に一任」。これは、インナートリップ・イデオローグリサーチ・センター(IIC)をさす。過去の選挙関連記事を調べると、週刊朝日(2014年4月11日)がまとめた「2013年参院選で自民党比例区候補者を支援した宗教関連団体」の一覧表に、「霊友会」の名前も出ていた。
憲法改正への態度を聞くと...
憲法改正については、態度を明確にしたのは、「9条を含め改正に賛成」とした幸福の科学と、「改正に反対」とした生長の家の2団体。与党の公明党支持を明確にした創価学会の回答は、「その他」だった。また、神社本庁は「回答なし」だったが、毎日新聞(電子版、16年5月4日)などによると、憲法改正を目指す「美しい日本の憲法をつくる国民の会」へ協力していることが知られている。
「重視する政策」を具体的に回答したのは4団体。五十音順で、幸福の科学は「安全保障政策、消費税を5%に減税して日本経済を浮上させる」。生長の家は「安全保障、原発政策」。創価学会は「軽減税率の導入、高額療養費の負担軽減など」。立正佼成会は「憲法改正、安全保障、原発、宗教政策」だった。ほかは、「信者の個々の判断にゆだねる」「回答なし」などと答えた。
【*メモ:公職選挙宗門推薦基準】西本願寺が1997年に作成した、選挙の被推薦者を決める内規。被推薦者の審査は宗派の僧侶、寺族、門徒を対象とし、選挙ごとに行う。国政選挙の場合は「総長」が推薦者となる。宗門は被推薦者に推薦書と激励書を送付し、国政選挙の場合は全国の教務所に被推薦者名を告知する。西本願寺によると、今回の参院選でも(6月16日現在)、すでに数人の推薦希望者が名乗りを上げているという。