英国のEU離脱問題が直撃? 円高、株価、そして参院選

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   外国為替市場で急速に進む円高への対応に、政府・日銀が苦慮している。日銀のマイナス金利政策への反発、米国の利上げ先送り、日米の為替介入を巡る確執に、目前の英国の欧州連合(EU)離脱問題と参院選の動向も加えた複雑な多元方程式をいかに解いていくのか。

   2016年6月13日の週は、英国のEU離脱の可能性が高まっているとの不安感が広がる中、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ先送り(15日)と、日銀の追加緩和見送り(16日)という日米の中央銀行の決定を受け、外国為替市場で急速に円高が進んだ。

  • 英国の国民投票は株価にどう影響するのか(画像はイメージ)
    英国の国民投票は株価にどう影響するのか(画像はイメージ)
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「(日銀は)身動きがとりにくい」との見方

   米国は景気の回復基調を受けて2015年12月に緩和から引き締め(利上げ)に政策転換し、年4回程度のペースで徐々に利上げする予定だったが、ここにきて雇用情勢の改善に遅れが目立ち、利上げペースをダウン。今回も利上げを見送った。

   一方の日銀は16年1月にマイナス金利導入を決め、2月から実施した。日銀は年間80兆円ペースの国債購入を続けるが、すでに日銀の保有国債は発行残高の3割を超え、いずれ限界を迎えるとの見方が広がる中でのマイナス金利導入だったが、それ以降も円高の流れにほとんど効果を発揮できずにいる。さらに、マイナス金利で収益悪化を強いられる金融機関の反発が強まり、最大手の三菱東京UFJ銀行が国債入札の特別資格返上に動き、市場に動揺を与えた。預金者にも利息収入目減りへの不安が広がっている。

   日銀の黒田東彦総裁は、物価上昇率2%の目標達成に向け「必要であれば、躊躇なく追加的な緩和措置をとる」と常に強調し、マイナス金利の一段の引き下げりを辞さない構えだが、市場では「身動きがとりにくい」との見方が強まっている。

   特に、円高の進行は株安に直結し、6月22日に公示される参院選で安倍晋三政権が成果として前面に掲げる「アベノミクス」を傷つける可能性があるだけに、政府・日銀の対応が注目されるが、金融政策を動かしにくい中で、外為市場への当局による介入に、いやが上にも関心が集まる。麻生太郎財務相は「一方に偏った、急激な投機的な動きが見られ、極めて憂慮している。これまで以上に必要な時にはしっかり対応する」(17日午前の閣議後会見)などと、円高をけん制する発言を繰り返している。

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