「臭い」と「有害成分」は切り離すべき
三次喫煙はメカニズム上、タバコの煙の成分が物に付着するのが発端となる。それなら、煙に触れた服や家具の処置方法が焦点になるだろうか。稲葉氏に具体的な方法をいくつか聞いてみた。
「煙の成分は『吸着』してしまっていますので、ホコリを払うような所作では取れないでしょうね。空気清浄機も大きい粒子は多少取れますが効果は小さい。掃除機でもすべては吸いきれないでしょう。洗濯(水洗い)すればほぼなくなります」
注意したいのは、
「煙の臭いと、(三次喫煙のもとになる)煙の有害成分とは、切り離して考えるべき」(稲葉氏)
という点だ。「臭いがあるから有害成分もあるかといえばそうでもないし、逆もしかり。だから、例えば電車の中で隣の人からタバコの臭いがしても、三次喫煙になるとは限らない」というのだ。臭いや見た目では分からず、実験で調べなければ成分ははっきりしない。
気にし過ぎるのも良くないのだろうか。これには稲葉氏も「う~ん」と返答に困ったようだ。ただ、受動喫煙が原因で死亡する人数は年間1万5000人に上るという推計が16年5月31日、厚生労働省の研究班から発表されている。これを引き合いに、「例えば居酒屋に行ったら煙が漂っていて、同時に受動喫煙もしますよね。三次喫煙と同時に受動喫煙もしている人が多いですので、健康を気にするなら、まずは受動喫煙を避けるのが大事でしょう」。