燃費データの改ざん問題で、三菱自動車が「eKワゴン」「eKスペース」などの偽装していた軽自動車のユーザーに対して、1台あたり一律「10万円」を支払う方針を明らかにした。
三菱自によると、ユーザーへの補償費用は、2017年3月期に約500億円の特別損失を計上。16年3月期決算ですでに引き当てた約150億円と合わせると、総額約650億円にのぼる見通しだ。
補償は、カタログ燃費より悪かった分のガソリン代の差額
三菱自動車によると、損害賠償は燃費データが異なることによって生じるユーザーの経済的損失とし、(1) 燃費データがカタログで示す値より悪かった分のガソリン代の差額、(2)今後の車検時などに想定される税金の差額、(3)ご迷惑をおかけしたお詫び――に対する補償で、1台あたり10万円を支払う。
リースや残価設定型クレジットを利用しているユーザーは、契約年数ごとに1万円。また、過去に使用していたユーザーには使用年数ごとに1万円を支払う。
新車購入時に実際のカタログ燃費がこれまでの公表値より悪くなることで、エコカー減税などで追加納税が発生する分については、同社が別途対応する。
対象車種は、2013年6月から生産している「eKワゴン」と「eKカスタム」「eKスペース」と日産自動車向けの「デイズ」「デイズルークス」で、燃費データの不正が明らかになった翌日の4月21日時点で使用していたユーザー(自動車検査証記載の使用者)に支払う。
さらに、新たに燃費データを改ざんが判明したスポーツ用多目的車(SUV)の「パジェロ」や「RVR」、「アウトランダー」の旧型車、中型セダン「ギャランフォルティス(スポーツバックを含む)」や小型車の「コルト(コルトプラスを含む)」の5車種の普通自動車、合計10万台のユーザーに対しても、1台あたり3万円を補償する。
三菱自の益子修会長は「1台あたり10万円」の補償額について、2016年6月17日の記者会見で、「社内試験の結果をベースに若干の余裕をみて仮計算した」と説明。燃費データ不正の影響はユーザーごとに異なるが、「10万円ならば、ほとんどすべてのお客様の負担増をカバーできる」と話した。一律での支払いは「わかりやすさなどを考慮した」という。