東京都の舛添要一知事が辞職を表明したことで、政治資金をめぐる一連の問題は解明されないまま幕引きを迎えることになりそうだ。本来ならば各党が追及すべきだが、自民党、民進党ともに党内に政治資金問題を抱えている。下手に攻撃を展開すると「ブーメラン」になりかねず、追及に二の足を踏んでいる。
実際、2016年6月15日に民進党が開いた会見では、山尾志桜里・政調会長の政治資金をめぐる問題について「全然釈明されていない」という声があがり、山尾氏が従来と変わらない説明を繰り返す一幕があった。まさに「延焼」のリスクと隣り合わせになっているわけだ。
甘利氏の「弁護士による調査」結果は未発表
自民党が抱えているのは、甘利明・経済再生担当相をめぐる現金授受の問題だ。道路用地の補償交渉への働きかけの見返りに甘利氏側が現金を受け取ったなどと週刊文春が報じ、甘利氏は16年1月に大臣を辞任。甘利氏はその直後から「睡眠障害」を理由に国会審議を欠席し続けてきた。市民団体は甘利氏と元秘書2人を、あっせん利得処罰法違反などの疑いで告発していたが、東京地検特捜部は5月31日に嫌疑不十分で不起訴処分にしていた。翌6月1日に国会が閉会し、そのわずか5日後の6月6日に活動再開を表明した。
甘利氏は、1月28日の辞任会見で「弁護士による調査」を続けると表明したが、活動再開時には「捜査への配慮」から調査を中断していたことを明かした。不起訴になったため調査は再開するというが、結果を報告する時期は示さなかった。5か月近くにわたって疑惑について説明されない状態が続いている。