東京都の舛添要一知事の辞職騒動の余波を受け、テレビ局の画面が5時間も、BGMと「資料映像」を流し続けるという珍事が起きた。2016年6月15日の都議会最終日の本会議を13時から放送予定だった「TOKYO MX」テレビでの出来事だ。
知事が当日朝に辞職願を出すという異変を受け、議会の開会は遅れに遅れた。結局、放送時間を確保していた18時までに、ほんのわずかの時間を除き、本会議は本格的に始まらなかった。その間、都内のビル群などを上空から撮影した様子や、熱帯魚のようなカラフルな魚が優雅に泳ぐ映像が映し出され、「テレテレテ~テテッ」などのBGMが流れていた。
「開会が遅れています」
「TOKYO MX」テレビで13時、「東京都議会本会議 最終日」の生中継が始まった。映し出された本会議場には、知事ら執行部や議員の姿はない。引きで撮った映像には、記者席にいるカメラを持った報道陣や、一般傍聴者らしき人の姿しか見当たらなかった。
ほどなく、「ただいま議事の都合により開会が遅れています」という音声と字幕が流れる。その後、会議場の様子は画面左下のワイプ(小窓)になり、大画面は、都心を空中から撮影した録画映像に変わった。どこか懐かしさを誘うようなメロディーがBGM風に流れている。
1時間、2時間、そして3時間が経っても状況は変わらない。その間、映像は東京都江戸東京博物館(墨田区)のものに変わるなどした。江戸時代の暮らしぶりを再現したミニュチュア模型などが次々と映し出された。
動きが出たのは17時ごろ。ワイプになっていた議場の画面が、大きくなり、議員らが席につく様子が映った。しかし、川井重勇議長が着席したのもつかの間、すぐに「この際、議事の都合により暫時休憩を致します」と宣言。議長がしゃべっていたのは約20秒。ほどなく、「再開され次第、本会議の模様を再び東京都議会場より生中継でお送り致します」という音声が流れ、再び、議場画面はワイプに縮小され、都の上空映像などに戻った。議場が大きく映し出されたのは、2分程度だった。
終了の瞬間、ネットで「あああああああああああ」
すると、ツイッターには、
「休憩のまま終了」
「都議会本会議は、いつまで休憩なんだろうか」
「都議会中継は18:00まで放送しますって流れたけどーーこのまま終わるんだね」
などの声が寄せられた。
一体いつになったら始まるのか。残り時間は刻々と減っていく。そして、18時少し前、その時が訪れた。
「中継の途中ですが放送を終了させていただきます」
と音声が流れた。
その瞬間、
「あああああああああああ、都議会の放送終わりやがったああああ」
「都議会中継、休憩のまま終了した。なんだったんだ、この5時間...」
と、悲鳴のような声がツイッターに殺到した。
番組は、懐かしいメロディーとともに、静かに終了した。その後は、ニュース番組が始まった。本会議が再開されたのは、その約10分後だった。