東京都の舛添要一知事が2016年6月15日朝に辞職願を提出したことを受け、焦点は「ポスト舛添」に移った。歴代都知事を見ると、青島幸男氏、石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏、舛添氏と、4代続けてテレビを中心に知名度が高い候補が当選している。
既にタレント候補から官僚出身者まで、様々な名前が取りざたされている。大半がテレビなどで知名度を上げてきた人たちだが、現時点ではどれも決め手に欠いている。
安藤優子「私は全く関係ありませんので」
この10年ほどの都知事選の結果を見ると、勝敗ラインは「200万票」といったところだ。それだけに知名度が必要とされる面も大きく、早くも冗談交じりに、キャスターの安藤優子さん(57)の名前が浮上した。6月15日昼の情報番組では、俳優の坂上忍さん(48)が安藤さんに対して「よろしくお願いしまーす」と「出馬要請」すると、安藤さんは
「私は全く関係ありませんので、誤解を招くような発言はやめていただきたいと思います」
などと否定していた。
ただ、著名人は「必ず何か(問題が)出る」として、「地味でも行政のプロ」を押す声もある。秋田県の佐竹敬久知事は6月15日、「行政のプロ」として「桜井君のお父さん」を挙げた。人気グループ「嵐」の桜井翔さんの父親で、6月17日付で総務事務次官を退任する予定の桜井俊氏(62)のことだ。過去の都知事選でも、官僚出身者が注目を浴びた事例は少なくない。例えば1979年~95年に都知事を務めた鈴木俊一氏は旧自治省(現総務省)、07年の都知事選に出馬して次点だった浅野史郎・元宮城県知事は旧自治省出身だ。ただ、桜井氏は15日、報道陣に「出るつもりはありません」と否定している。
このほか、自民党側では、小池百合子元防衛相(63)や、舛添氏の元妻、片山さつき参院議員(57)、東京都連会長の石原伸晃経済再生担当相(59)などと名前が取りざたされている。自民党からコントロールしやすい存在として、伸晃氏の弟の石原宏高衆院議員(51)の擁立論も一部で浮上している。
長妻氏「2万%ありません。...と言うと誤解を受けるので100%ありません」
一方の民進党では、舛添氏を激しく批判してきた人を中心に出馬の可能性が指摘されている。蓮舫代表代行(48)、長妻昭代表代行(56)などだ。ただ、蓮舫氏は7月10日投開票の参院選に東京選挙区から立候補予定で、このタイミングで都知事選に鞍替えできるかは未知数だ。
また、長妻氏は6月15日に開かれた参院選向け公約の発表会見で、自身の出馬について、
「あのー、2万%ありません。...と言うと誤解を受けるので100%ありません。(中略)それ(出馬)は考えていない」
などと否定。「2万%」とは、橋下徹・前大阪市長(46)が大阪府知事選への出馬を否定する時に否定した時に使った言葉だが、直後に前言を翻して出馬表明したと言う経緯がある。
そういったこともあって、会見で隣の席に座っていた山尾志桜里政調会長(41)から、
「『2万%ない』って言ったら、(出馬)するみたい」
と突っ込みを受けていた。
このほか、メディアでは、橋下氏、東国原英夫・前宮崎県知事(58)、おおさか維新の会から参院選に出馬を表明している田中康夫・元長野県知事(60)、片山善博(64)・元鳥取県知事(64)、増田寛也・前岩手県知事(64)など、知事経験者の名前も多数取り沙汰されている。
また、前回の都知事選で出馬が取りざたされたジャーナリスト池上彰氏(65)などの名前もあがる。また、前回の都知事選で立候補して落選した弁護士の宇都宮健児氏(69)は舛添氏の答弁について都議会を傍聴に訪れており、今回も立候補するか関心を集めている。
さらに、舛添氏の前任の猪瀬氏(69)に対しても一部で期待論があるが、猪瀬氏は、辞任の引き金になった徳洲会グループからの資金提供問題で14年に罰金刑が確定している。これにともなって5年間公民権が停止されているため、19年まで立候補はできない。