政治資金の「公私混同疑惑」で辞職を決意した東京都の舛添要一知事。疑惑が報じられて以降、辞職を求める声はネット上で絶えず、都議会でも「辞職すべき」との声が多く上がっていた。
辞職はやむなし――。そう考える人が多いのかと思いきや、ここにきて識者を中心に「メディアリンチで吊るし上がりすぎ」「さすがに舛添さん叩きだけに終始しすぎ」と舛添知事に同情的な声が上がり始めた。そして、「矛先」は今回の疑惑を厳しく追及してきたマスコミ、都議会へと向けられつつある。
「セコいから辞めさせる」じゃ民主主義は成り立たない
舛添知事が辞任を表明した後、その判断に疑問の声を投げかける識者が現れ始めている。大阪大学の菊池誠教授(物理学)は2016年6月15日、「『都知事はセコいので辞めさせます』では民主主義は成り立たないと思う」と指摘。コラムニストの小田嶋隆さんは、マスコミ、議会、一般人が舛添知事追及に血道を上げた様子を「いじめる側にまわらないといじめられる小学校の教室みたい」と例えている。
コピーライターの糸井重里さんは、こんな皮肉の利いたツイートを投稿している。
「『みんなで石を投げれば、こんなことまでできるんだぞ』という物語が、みんな大好きなんだ。そして、投げて投げて追いつめて磔にして『ほらみろ』と言ってから、『なんでこんなことやってるんだっけ?』と気づき、忘れる(このくりかえし)」
一見しただけでは「みんな」とは、「石」とは、そして石を「誰に」投げたのか、まったく分からない。だが、タイミング的に舛添知事と舛添知事を批判する人々の構図だと捉えた人が多かったのか、「これはただのイジメにしか見えません」「『前の方がよかった』とか」という反応が寄せられている。