「燃費不正」でここまで落ちた 三菱自、日産の「軽」販売台数

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   燃費不正問題を引き起こした三菱自動車の2016年5月の軽自動車の国内新車販売台数が前年同月比75.0%減の912台と4分の1に落ち込んだ。三菱自からの軽供給が停止している日産自動車も76.8%減の3105台と急減したほか、5月18日に燃費データの不正測定を公表したスズキも15.4%減の3万8094台にとどまった。

   全国軽自動車協会連合会の調査で明らかになった。三菱自やスズキで相次いだ燃費不正問題の影響で、他社も含めた軽自動車全体でも14.3%減の10万7834台と17か月連続のマイナスを記録した。

  • 日産自動車のカルロス・ゴーン社長と三菱自動車の益子修会長
    日産自動車のカルロス・ゴーン社長と三菱自動車の益子修会長
  • 日産自動車のカルロス・ゴーン社長と三菱自動車の益子修会長

マイナス3社とプラス2社の明暗

   三菱自は「eKワゴン」「eKスペース」、日産に供給している「デイズ」「デイズルークス」の軽自動車4車種の燃費データの意図的改ざんを発表した4月20日から生産、販売を停止し、日産自動車への供給もやめている。三菱自の国内販売のうちeKシリーズは4割超を、日産ではデイズシリーズが2割超を占めており、販売停止の影響は小さくない。ただし、それでも両社の軽自動車販売がゼロにならないのは、いずれもスズキからOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けているからだ。

   燃費データをタイヤなどパーツごとに計測する不正を行っていたスズキは、「カタログ燃費との差がなかった」(幹部)として、不正を発表した5月18日以降も販売を継続している。しかし、ブランドイメージの悪化などでマイナスを免れなかった。

   これに対し、軽自動車市場でスズキとトップ争いを繰り広げているダイハツ工業の5月の販売台数は5.4%増、業界3位のホンダも3.8%増といずれも伸ばした。業界には「三菱自や日産、スズキから顧客が流れた可能性が大きい」(自動車大手)との見方があり、不正問題が落ち着くまでマイナス3社とプラス2社の明暗は、しばらく続きそうだ。

業界の雄・スズキの不正問題の余波

   一方、5月の軽自動車の車名別販売で、三菱自のeKワゴン、日産のデイズなど4車種の販売台数は、とうとうゼロに。燃費データの意図的改ざんが明らかになった4月から販売停止となっているためで、4月統計には発覚前の分が入っていた。三菱自、日産はともに軽自動車が販売の主力となっているだけに、「このまま販売停止が長引けば業績影響も無視できなくなる」(関係筋)として、両社は早期の販売再開を望む。

   車名別販売ランキングを見ると、1位はホンダのN-BOX、2位がダイハツのタントで、トップ5は4月と同じ顔ぶれだった。不正測定があったスズキはアルトとスペーシア、ハスラーが3~5位に、ワゴンRも7位に入っており、スズキ車4台がトップ10入りと、根強い人気を見せつけた。ただし、N-BOXが10.5%増、タントに至っては29.9%増と大きく伸ばしたのに対し、アルトは9.8%減、スペーシアが17.0%減、ハスラーも20.9減と、勢いの差はくっきり。

   三菱自もさることながら、業界の雄・スズキの不正問題の余波は、なお市場全体を揺さぶり続けそうだ。

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