厚生労働省の人口動態統計(年間推計)によると、2015年の離婚件数は22万5000組にのぼる。毎年それだけの夫婦が、別々の道へと歩み始めるのだが、夫婦の縁は切れても、その子供にとっては「父親」と「母親」のままだ。
しかし、離婚後に親権を持たない方の親が子供との面会交流を求めても、なかなか思い通りにはいかないケースがある。なかには一方の親が子供の「連れ去り」をしてしまい、もう一方との面会を拒絶することも――。別居や離婚した親子の「面会交流」を追った。
日本は離婚すると片方の親だけに親権与える
日本では現在、米国など諸外国が採用する「共同親権」ではなく、「単独親権」の制度がとられている。つまり離婚すると、片方の親だけに親権が与えられ、もう一方には親権が認められない。
親権者を指定する上では、「主たる養育者か」や「継続性があるか」などいくつかの要件に照らして検討される。親権を望む親は、とくに継続性の面で有利になろうと「連れ去り」や「引き離し」をして、もう一方の親と面会させないケースが多々あるという。自分とだけ一緒に子供と過ごせば、継続性が生まれるからだ。
そんな背景のもと、2008年7月に「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(親子ネット)」が発足した。親権をめぐり、実子との交流が困難な当事者を中心に、別居後の親子交流をすすめる法整備や、支援制度の確立を目指す団体である。
親子ネットは定期的に、講演会を実施している。16年6月11日には東京・池袋で、上野晃弁護士(日本橋さくら法律事務所)や、東京国際大学の小田切紀子教授(心理学)らを招いて、「フレンドリー・ペアレントルール(寛容性の原則)」について参加者と情報を共有した。