AKB48グループの一角を占める中国・上海のSNH48と、「本家」AKBとの関係に異変が起きている。SNH48の現地運営チームに「契約違反」があったという文章がAKB48のウェブサイトに掲載されたのだ。「運営の見直し等を図る必要」も出てきたといい、AKB48の公式サイトに載っていたSNHのバナーや広告も削除された。
具体的にどのような「契約違反」があったのかは必ずしも明らかではないが、最近のSNHはAKBの「お下がり」ではない独自の楽曲を売り出すなど独自の動きを加速させており、北京や広州に姉妹グループを立ち上げたとも発表していた。こういった独自路線が「契約違反」だと判断された可能性もある。SNH側は「いわゆる違反行為は存在しない」と主張しており、日中で言い分が対立している。
楽曲や公演、「選抜総選挙」などAKBのビジネスモデルを輸出
SNH48は、海外姉妹グループとしてはインドネシア・ジャカルタのJKT48に続く形で2012年に発足。AKBメンバーの宮澤佐江さん(25)と鈴木まりやさん(25)がSNHに移籍し、現地メンバーの指導にあたった。宮澤さんは毎年「選抜総選挙」の上位にランクインするメンバーで、「大型移籍」だとして話題になったが、日中関係の緊張もあって十分な活動が難しく、今は2人とも活動の拠点を日本に戻している。
SNHは現地の運営会社「上海絲芭文化伝媒有限公司」がAKBからライセンスを受ける形で運営。楽曲や公演、「選抜総選挙」など、AKBグループのビジネスモデルを輸出した形だ。だが、16年に入ってから異変が起きた。
15年までは、SNHは日本で発売されたAKBの楽曲を中国語版にアレンジして発売してきたが、16年に入ってからはオリジナルの「源動力」「夢想島」を発売。作詞も総合プロデューサーの秋元康氏以外の人が担当した。4月には北京と広州に姉妹グループを立ち上げることも発表され、5月20日には、オリジナル公演「心の旅程」もスタートした。
それから20日ほど経った6月9日、AKB側も反応を見せた。公式ウェブサイトに
「SNH48の現地における運営サイドに契約違反があり、運営の見直し等を図る必要が出てまいりました」
などとする文章を掲載し、北京と広州で結成された「BEJ48」(北京48)と「GNZ48」(広州48)についても、
「当社は関知しておらず、AKB48グループとは何の関係もない」
とした。
AKB側の文書ではSNHの「運営の見直し等を図る必要」がある、ともある。具体的な見直しの内容については「現在協議中」だと説明している。
AKB48の運営会社はSNHとの契約内容そのものを明らかにしておらず、どのような点が「契約違反」にあたるのかは明らかではない。だが、一連の経緯からすれば、オリジナル楽曲や公演、新姉妹グループなどが「契約違反」だと判断されている可能性が高い。
SNH「いわゆる違反行為は存在しない」
それを裏付けるとも言えるのが、翌6月10日にSNH側が公式ウェブサイトに掲載した反論の文書だ。文書では、SNH48を
「完全に独立し、自主運営している中国本土の大型アイドルグループで、ネットの考え方に基づいたスター育成プラットフォーム」
だとした上で、AKB48との関係を
「運営は日本のAKB48と国境を越えた技術協力関係の中で行われており、いわゆる違反行為は存在しない。我々は今までどおりの運営を行っていく」
などと主張。2つの姉妹グループにも触れながら、
「(姉妹グループ立ち上げの発表と)同時に、音楽の内容も独自戦略を取ることを発表している。これは、すでにSNH48が完全に全面的に独自路線を取っていることを示している」
とした。オリジナル楽曲と公演についても「好評を得ている」として、独自路線を継続する考えだ。
前出の宮澤さんは16年4月にAKB48グループを卒業したばかり。6月9日夜には
「私が卒業したからとか関係なく、なんかモヤモヤする。。。作ったのにほったらかしにしてたのも悪いし、勝手にいろいろしちゃうのも悪いし。。うーん、、、ここに書ける言葉がこれ以上出てこない」
とツイートした。日中両方に問題あり、とみているようだ。