「空気が一変」は本当に起きる 観客の息遣いからわかる映画の面白さ

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   ハラハラドキドキ、ワクワクゲラゲラ......。映画を見ると私たちの息遣いが自然に荒くなっていく。その吐く息に含まれる微量の化学物質を映画館内の空気から採取して分析すれば、どれだけ映画を楽しんでいるかがわかるという研究がまとまった。

   ドイツのマックス・ブランク化学研究所とヨハネス・グーテンベルグ大学の共同チームが、英の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)の2016年5月10日号に発表した。

  • ゴジラの登場で空気が凍りつく
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映画館の空気には観客の興奮物質が漂っている

   人間が息を吐く時は何百種類もの化学物質を体外に排出する。それらの中には興奮したり、リラックスしたり、と心理状態の変化に応じて出している物質がある。それを採取して分析すれば、映画を見ている観客の驚き・興奮・恐怖・喜び・悲しみなどの反応を測定することができる――。

   そう考えて研究チームは、ドイツ・マインツの映画館の協力を得て、館内の天井の排気口に空気を集める装置を取り付けた。そして全部で16作品の映画を選び、延べ108回の上映の「観客の吐息」を採取した。観客の合計は9500人だった。映画は、「ハンガー・ゲーム2」「LIFE!/ライフ」「ウォーキングwithダイナソー」「マチューテ・キルズ」「ホビット 竜に奪われた王国」などで、アクション、サスペンス、コメディー、ドラマなど様々なジャンルにわたる。

   1つの映画で30秒ごとに「吐息」のサンプルを集め、シーンごとに異なるラベルを貼った。たとえば、SFアクション映画「ハンガー・ゲーム2」では、「ヒロインが命を賭けて戦に立ち上がるシーン」で、吐息サンプルの化学物質をイオン化して分析すると――。呼吸が激しくなると排出される二酸化炭素とイソプレン(炭化水素)の濃度が急上昇した。また、「集団同士の死闘のシーン」になると、ストレスホルモンのコレチゾールと闘争ホルモンのアドレナリンの濃度が急激に増加し、観客の興奮が一気に高まったことがわかった。

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