東京都の舛添要一知事の政治資金などをめぐる問題で、都議会の各会派は2016年6月9日、週明け13日から総務委員会で集中審議を行い、引き続き追及していくことを決めた。
だが、追及が強まった結果として舛添氏が辞任するかは未知数だ。舛添氏は自らの給与削減で責任を取った形にしたい考えだが、そのためには条例の改正が必要だ。各会派は慎重な対応が求められる上、中には舛添氏への「助け舟」ともとれる質問をする会派もある。
「厳しい第三者」による報告書以上の内容は皆無
一連の問題をめぐっては、6月7~8日に行われた代表質問と一般質問でも追及が行われたが、舛添氏は
「都民の皆様、都議会の皆様の信頼を取り戻すため、誠心誠意、都政に向き合っていきたいと考えている」
などと繰り返すばかりで、「厳しい第三者」による報告書以上の内容は皆無だった。各派は「回答は不十分」だとして、事前に質問項目を通告する代表質問や一般質問の形式ではなく、その場で一問一答形式で詳細に追及できる集中審議の実施が決まった。
そんな中で出てきたのが給与削減案だ。舛添氏は6月9日、記者団に対して
「身を切るようなしっかりとした対応をしてくれ、というようなことを厳しく議会の皆様方に問われたので、私のひとつのけじめのつけ方として、そういう形でお応えしたい」
などと説明。減額の幅は今後詰めるが、議会最終日の6月15日までに条例の改正案を提出する考え。給与削減そのものに反対することは難しいため、各会派ともに、この条例案には賛成せざるを得なくなるとみられる。その結果、条例成立が事実上の「ガス抜き」として機能する可能性も出てくる。
「知事の不支持率は100%」と非難してみせたが...
実際、6月8日に行われた一般質問では、自民党から「ガス抜き」とも取れる質問が出ている。共産党などは、関係者の出頭や証言、記録の提出を求めることができ、正当な理由がないのにそれを拒んだり虚偽の証言をしたりした場合には禁錮や罰金などの罰則がある百条委員会の設置を求めている。だが、自民党の田中豪議員は「知事の不支持率は100%」などと舛添氏を非難する一方、百条委員会については、わざわざ
「参院議員時代の政治資金の問題を、都議会の百条委員会で議論することはなじむのか」
と質問した。これは、問題視されたホテルへの家族旅行が参院議員時代に行われたことを念頭に置いている。答弁に立った都の幹部は、地方自治法の条文に照らし合わせてみても百条委員会は「地方公共団体の事務に直接かかわること」が対象だとして、
「参院議員時代の問題はなじみにくい」
と答弁した。総務委員会の集中審議は行われるものの「その次」が怪しくなっているわけだ。だが、現時点では都民の怒りは収まる気配を見せておらず、最終的に自民党が舛添氏に引導を渡す可能性も残ってはいる。公選法の規定では、知事が辞任した場合、50日以内に選挙を行うことになっている。参院選との「ダブル選」の可能性は消えた形だが、それでも「9月辞職説」などがくすぶっている。