スーちゃん田中好子は震災被災者を心配しつつ逝った
一方、乳がんとの闘病の末、亡くなった有名人も多い。麻央さんと同じ30代で発症した人もいる。
元「キャンディーズ」のスーちゃんこと田中好子さんは1992年、36歳の時に乳がんが見つかった。手術と再発を何度か繰り返したが、毎年数回の検診を受けていたため早期発見でき、治療を続けながら仕事をしていた。ところが2010年10月、容体が変化。十二指腸潰瘍をわずらい、免疫力が低下したのが一因とされ、2011年2月にはがん転移した。
「夏までもつか分からない」と医師から通告された夫・小達一雄さんは3月、悩んだ末、死が迫っていることを田中さんに告知した。折しも、東日本大震災の直後だった。がんと闘いながらもしきりに被災者を気遣った田中さんは同年4月21日、55歳でこの世を去った。小達さんは田中さんの遺志を継ぎ「田中好子『いつもいっしょだよ』基金」を設立している。
「愛を下さい」のフレーズが印象的な曲「ZOO」などで知られる歌手・川村カオリさんは2004年に乳がんが発覚した。33歳だった。すぐに左乳房の全摘出手術を受け、07年にはピンクリボン運動に参加。「年に一度は乳がん検査に行ってほしい」と呼びかけた。しかし、08年に再発。リンパ節、肺、骨に転移し摘出は不可能と診断された。闘病中もライブやレコーディングを続け、09年5月には13年ぶりのフルアルバムもリリースしたが、同年7月28日、38歳で亡くなった。治療の経過を自身のブログで発信し続けた。スタッフが訃報を知らせたエントリーには1万4000件以上の追悼コメントが寄せられた。
最近では、アニメ「ちびまる子ちゃん」でお姉ちゃんの声を務めた声優・水谷優子さんが2016年5月17日、51歳で亡くなった。亡くなる2か月前から、めまいや吐き気に苦しんでいた。アニメの収録には4月下旬まで参加していたが、その約1週間後に体調が急速に悪化し入院。それでも、病室に台本を持ち込むほど仕事復帰への意欲を見せており、最期の言葉は「仕事に行きたい」だった。訃報が伝わると、神谷明・緒方恵美・古川登志夫さんら声優仲間が続々とツイッター上で追悼の言葉を贈った。