「めっちゃ怖い」「ビビる」――そんなネット上の反応を集めているのが、労働災害疑似体験VRシステム「セーフマスター」だ。
製造現場で起こりやすい「はさまれ・巻き込まれ」といった事故をシミュレーションできるこのシステム。装置の中で自分の手を動かすと、画面に表示されたCGの手がそのまま同じ動きをする。ベルトに手が巻き込まれたり、旋盤に手が触れたりした瞬間、手に鮮血が飛び散る仕組みで、思わず身構える生々しさだ。「リアルさ」の理由は何なのか。システムを制作した会社に聞いた。
CGの手から真っ赤な鮮血が吹き出し...
「セーフマスター」を生んだのは、VR技術を使った商品を開発・販売するソリッドレイ研究所(横浜市)だ。同社によると、販売が始まったのは「おそらく10年ほど前」。客によって中身のコンテンツを変えるオーダーメイドのため、値段はまちまちだという。主に自社工場を持つ大手企業などが、従業員の研修用に使っている。
使い方は簡単だ。体験者はモニターやスピーカーが付いた装置の中に手を入れ、画面に表示されたCGの手を見る。CGの手は自分の手と同じ動きをする仕組みだ。画面には手のほか、ベルトやワーク(工作機械)なども表示されており、製造現場の風景が忠実に再現されている。
体験者が誤ってベルトの中に手を突っ込んだり、ワークの位置をズラしたりすると、CGの手から真っ赤な鮮血が吹き出し、「ウワーッ」というホラーゲーム顔負けの大きな叫び声が上がる。それに加え、エアコンプレッサーで風が送り込まれるため、相当「リアル」な体験ができるようだ。
同社が2010年にYouTubeへ投稿した体験動画でも、驚いた体験者が後ずさりする様子がおさめられている。なお、動画ではベルト巻き込みとワーク接触しか紹介されていないが、その他、プレス(押しつぶされ)、激突、切創、感電など複数の事故パターンが用意されているという。