美容室のBGM「タダじゃない」 JASRAC、全国で簡裁申し立ての強硬

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   日本音楽著作権協会(JASRAC)が、店舗内などで許諾なくBGMを利用する美容室などに対して、全国一斉に著作権料を払うよう、法的措置に訴えた。

   申し立ての対象となった店舗は、JASRACが繰り返し催告したにもかかわらず、契約手続きに応じなかった美容室や理容店、アパレルショップ、飲食店などで、なかでも美容室が全体の約7割を占めていた。

  • 美容室などでは携帯音楽プレーヤーの利用が増えて…
    美容室などでは携帯音楽プレーヤーの利用が増えて…
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CDや携帯プレーヤーの音楽流せば契約必要

   JASRACは2016年6月7日、BGMを利用していながら、音楽著作権の手続きが済んでいない187事業者、212店舗に対して、全国30か所の簡易裁判所にそれぞれ民事調停を申し立てた、と発表した。調停を申し立てた、すべての店舗のうち、じつに132事業者、151施設が美容室だった。

   JASRACが、BGMを流している店舗や商業施設などの著作権管理を開始したのは、2002年のこと。当時はほとんどの店舗が、音源を提供している有線放送などの業務用BGMサービスを利用しており、そういった事業者が著作権の手続きを代行していた。そのため、店舗などが個別にJASRACと契約を結ばなくても、適法に利用されていたという。

   ところが、ここ数年はBGMの音源が市販のCDや携帯音楽プレーヤー、パソコンやインターネットラジオなどと多様化。これらの音源を利用してBGMを流す場合は、個別の店舗ごとに著作権の手続きが必要になるが、契約手続きが行われていない店舗が多くあるのが現実だ。

   JASRACでは、全国16の支部、約200人の社員がふだんから個別の店舗ごとに契約交渉にあたっている。なかでも、6月と7月は「BGM手続き推進月間」で、店舗などがBGMを適法に利用するための取り組みを強化している。

   じつは、無許諾の店舗に対する全国一斉の法的措置は、2015年に続いて今回が2度目。15年に調停を申し立てた171事業所、252店舗については「9割が解決済み」という。「店舗の中には、これ(申し立て)を契機にBGMをやめてしまった店舗もありましたが、それまでの著作権使用料をお支払いいただくなどして解決しています。(調停の目的は)基本的にライセンス契約を結ぶことにあります。多くは契約を結んでいただくことができました」と話している。

   BGMは幅広い業種で利用されており、JASRACでは現在、全国規模の各業界団体に対して、加盟店の無許諾利用の解消に向けて順次協力を要請している。

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