前回の延期の格付けへの影響は
そうしたなか、格付投資情報センター(R&I)は6月6日、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。消費増税の再延期で「財政再建の先行き不透明感が高まった」と判断した。
今回、格付け会社が格付けの見通しを変更したのは初めて。R&Iは、「当面の国債消化に問題はないが、日銀による買い入れにも限度があろう。金融緩和の出口で国債市場に相当のストレスがかかり、金利上昇につながるリスクを懸念している」と指摘する。
「厳しい」評価にみえる見通しの変更だが、格付けそのものは上から2番目に高い「AAプラス」のまま。他社と比べても、S&Pやムーディーズの格付けが上から5番目、フィッチも6番目というから、たとえ1段階引き下げたとしても「低い評価」とはいえないかもしれない。
消費税の税率10%への引き上げが延期されたのは今回が2度目。前回、消費増税が延期されたのは2014年11月。このときには、延期の発表から1年以内にS&Pやムーディーズ、フィッチのすべてが日本国債を格下げ。S&Pが「Aプラス」、ムーディーズ「A1」、フィッチは「シングルA」と、現在の水準に引き下げた。
「政府が2015年10月に予定していた消費増税を先送りし、それを穴埋めするだけの財政健全化策を打ち出せていないこと」(フィッチ)が、格下げの理由だ。