まさに「マズい」ミスだった。日本テレビ系のバラエティー番組が、「青汁」のCMで知られる俳優・八名信夫さん(80)を「故人」として紹介してしまった。
八名さんは、現在も俳優活動を続けている。所属事務所も番組放送後に「明らかな事実誤認」と公式サイト上で抗議した。
「現在も俳優として活動しております」
ミスは、2016年6月6日放送のバラエティー番組「超頭脳トレード」(日本テレビ系)で起きた。チラシ(広告)の仕掛けで商品の売上を伸ばした事例を紹介するコーナーで、キューサイ「青汁」のCMが放映。「マズい~、もう一杯」というお馴染みのフレーズが流れる中、テロップに「故八名信夫さん」と表示された。
八名さんは5月30日、故郷の岡山県を訪れ、JR岡山駅前で行われた同県産マスカットのPRイベントに出席したばかり。もちろん俳優活動も続けている。
決定的なミスと言え、放送中から
「まだ死んでないよね?」
「勝手に殺すな」
といった指摘がネットで相次いでいた。八名さんの所属事務所「悪役商会」も6月6日の番組放送後、「『超頭脳トレード』という番組で、八名信夫が『故八名信夫』と紹介されていましたが、八名は健在で、現在も俳優として活動しております。この明らかな事実誤認につきまして、日本テレビに確認中です」という抗議文を公式サイトで発表した。
以前、テレビ出演の減った八名さんをめぐり、ネットで「死亡説」が流れた。ネットユーザーの間で広く知られ、八名さんも出演した15年12月25日放送のバラエティー番組「爆報!THEフライデー」(TBS系)で紹介された。「超頭脳トレード」の制作スタッフが「死亡説」を真に受けていた可能性もなくはないが、ミスの原因は明らかになっていない。
一方、ミスが「広告効果」の特集中に起きたためか、掲示板サイトに「これで(青汁が)売れたらヤラセだな」という、穿ち過ぎとも言えそうな憶測も書き込まれた。
日テレは公式サイトでお詫び
「もし放送前に(ミスを)知らされていたら、そもそも映像の使用を許可しません」――。悪役商会の担当者は6月7日、J-CASTニュースの取材に対し、こう説明する。そもそも、事務所側が番組のミスを確認したのは放送後で、「複数の方々からメールを頂いて、初めて知りました」という。
担当プロデューサーからは深夜に「謝罪のメール」をもらい、これから双方で対応を協議するらしい。とはいえ、「レギュラー番組ならまだ次回の放送で訂正できるでしょうが、単発の特番なので、どうしたらいいか難しいところです」と複雑な心境を明かす。
最後にミスの感想を聞くと、「絶対にあってはならないことです。八名は俳優として現役で活動しておりますので、故人だという誤った認識が広まってしまうと、仕事に大きな影響が出てしまいます。だいいち、生きている人を故人としてしまうことは、その生命を勝手に断絶するようなもので、大変失礼で許しがたいことだと思います」と日テレ側を強く批判した。
日テレも16年6月7日、公式サイト上でミスを認め、「ご本人および関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び致します」と謝罪している。ただ、同局担当者にミスの原因を聞いたが、「それはお答えできない」とのことだった。