ジャガイモを食べ過ぎると高血圧のリスクが高まるという研究を米のブルガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のリー・ボーギー博士らのチームがまとめ、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」(電子版の)2016年5月17日号に発表した。
ジャガイモの食べ過ぎは糖尿病のリスクを3割高めるという研究を、日本の大阪がん循環器予防センターのチームが2015年12月に発表したばかりだ。
「ゆでる」で11%、「揚げる」で17%危険性上昇
ボーギー博士らは、米国の3つの大規模な健康研究に参加した男女約18万人を対象に、20年間にわたり食生活と高血圧の関係を追跡調査した。研究開始時には高血圧を認めた人はいなかった。期間中に対象者は何度も食事に関する調査票に回答した。その結果、ジャガイモを週に4回以上食べる人は、月に1回未満の人に比べ、料理方法が「焼く」「ゆでる」「マッシュ(つぶす)」の場合は11%、「(油で)揚げる」場合は17%、高血圧になるリスクが高まった。意外なことに、ポテトチップスではリスクは上昇しなかった。
ボーギー博士は「ジャガイモはほかの野菜に比べてGI(グリセミック・インデックス)値が高く、血糖値の急激な上昇を引き起こす食べ物です。そのため、高血圧のリスクを高めた可能性があります。ジャガイモを1日に1回、デンプン質ではない野菜に置き換えると、高血圧のリスクが低くなります」とコメントしている。
どら焼きと同じくらい血糖値を高めてしまう
GI値とは、食べた後に血糖値を上昇させるスピードを食品ごとに数値で表したものだ。数値が高いほど血糖値が上がりやすい。ジャガイモのGI値は95で、ヤマイモ75、サツマイモ55に比べ、イモ類の中ではトップクラス。お菓子のどら焼き95と同じで、チョコレート91、ドーナッツ86より高いのだ。
糖尿病や糖尿病予備群の人は、GI値60以下が勧められている。ジャガイモはもともと糖質が高く、糖尿病患者は控えたい食品の1つとされている。たとえば、筑波メディカルセンター病院の糖尿病対策のサイトをみると、「でんぷん質の多い食品を摂り過ぎないように」としてイモ類(ジャガイモ、サトイモ、サツマイモなど)の筆頭にあげられている。