児童虐待「親も子どもも、その認識を有していないことが多い」
一方、通告は当然だとする意見もある。弁護士の紀藤正樹さんは16年6月6日のブログで、函館中央署の対応を「世論に流されず、警察の職分をわきまえたもので、極めて冷静なもの」と評価している。念頭に置いたのは、これまでの児童虐待事件だ。
「親に善意に考えた結果が、最悪の結果を生んできた」(原文のママ、以下同)。そう振り返り、「万が一の悲劇を二度とおこならないようにする、ということです。その調査の方法としては、警察よりも、児童虐待の専門家である児童相談所がふさわしい」と説明した。
大和君が発見されたから両親を「許すべき」という主張にも懐疑的だ。児童虐待は「親も子どもも、その認識を有していないことが多い」と指摘し、「真相解明の手続はきちんと踏むべき」と反論している。
ちなみに過去、児童相談所に通告された「置き去り」行為のほとんどは捨て子など保護責任者遺棄の色合いが強いものだ。04年、北海道浦河町の牧場従業員女性が「言うことを聞かない」5歳の長女を裸のまま牧場に放置した一件は、両親が「しつけ」を主張した数少ない事例で、保護責任者遺棄には問われなかった。