「想定外」だった陸自施設エリア
注目を集めている点のひとつは、「(不明になった)28日から(陸自宿舎に)いた」という大和君証言と、「30日の点検時に、誰の姿も見えなかった」とする陸自の説明の「矛盾」だ。見落としや、一時的に宿舎を離れていた可能性も考えられるが、「なぜ30日の時点で発見されなかったのか」は、ひとつの謎だ。
捜索範囲の問題では、発見された陸自施設は「想定外」だったとして探していなかった。このため、捜索の範囲設定が適切だったのか、と批判や疑問の声が出ている。一方で、「子供が険しい山道に入っていくはずがない」という、捜索のプロたちの「想定」を超える行動を取ったことになる大和君の足取りに不自然さを感じる人もいる。朝日新聞4日付朝刊によると、「(大和君が施設へ)どうやって来たのかは、はっきりしていない」。
また、1週間近くも「水だけ」で生き延びた状況ながら、自分で歩けるなど比較的元気なことにも驚きの声が出ている。大和君が搬送された市立函館病院の医師は3日の会見で「7日間頑張った割に、非常にしっかりしていると思います」と述べていた。
他にも、なぜ1週間近くも陸自施設から動いて助けを求めようとしなかったのか、逆に「遭難時に動かない」原則を知っていたのだとすると、なぜ親が「置き去り」現場へ「約5分後」に戻った時、その場にいなかったのか、といった疑問を呈する人もいる。