行方不明となっていた小学2年生の田野岡大和君(7)は、陸上自衛隊駒ケ岳演習場(北海道鹿部町)の小屋に潜んでいたところを自衛隊員に発見された。
ただし、小屋へ入り込んだ日時をめぐって自衛隊側と大和君の説明が食い違っている。基準となるのは、自衛隊による小屋の点検が行われた2016年5月30日だ。J-CASTニュースの取材に「以前施錠されていた扉のカギをその日かけ忘れた。そこから潜入したのでは」と証言する自衛隊側。「(行方不明になった)28日から小屋にいた」と警察に説明する大和君。ここで生じる2日間のズレはどう理解すればいいのだろうか。
30日の点検時には「誰の姿も見えなかった」
大和君は2016年6月3日朝、演習場内の小屋にいるところを訓練中の自衛隊員に発見された。
小屋は「廠舎」(しょうしゃ)といい、訓練中の自衛隊員が宿泊する際に使う施設。中には寝泊り用のマットが敷かれている。食料は備蓄されていないものの、水道から水が出るようになっていたという。自衛隊員によって最後に使われたのは5月23日だったという。
駒ケ岳演習所を管理する自衛隊第11旅団の担当者によると、小屋にはカギのついた扉が3つあった。そのうち1か所が、自衛隊による5月30日の点検時から6月3日の大和君発見時まで施錠されていなかったという。「大和君は恐らく、その施錠されていない扉から入ったものと思われます」――担当者はそう推測する。
一方、マスコミ報道によると、大和君は5月28日に歩いて小屋までたどり着いた、と警察に話しているという。
30日といえば、大和君が行方不明になった2日後で、警察や消防が必死の捜索活動を展開していた。しかし、自衛隊の担当者は「30日の点検時に、(小屋には)誰の姿も見えなかった」とJ-CASTの取材に話している。
仮に大和君が28日に小屋にたどり着いていたとすれば、30日の点検時に発見されてもおかしくないはずだ。田野岡君が小屋の外に隠れていたか、点検者が小屋にいた大和君を見落とした可能性もなくはない。同時に「すべての扉を5月30日まで施錠していた」という自衛隊側の説明にも疑問符が付く。
一方、小屋の扉が30日まで本当にすべて施錠されていたのであれば、大和君は28日から30日までどこにいたのか。28日に小屋へたどり着いた、という大和君の説明に矛盾が生じることになる。
自衛隊のセキュリティチェックの甘さを指摘する声
証言の食い違い以前に、自衛隊側のセキュリティチェックの甘さを指摘する声も相次いでいる。ツイッターユーザーは
「施設セキュリティはどないなっとんねん?」
「子供でも施設に入れちゃうなんて」
「少年でも入れちゃうセキュリティなんですね」
と手厳しい。そうした意見を自衛隊第11旅団の担当者にぶつけると「普段は閉め忘れないんですが......」と首をかしげつつも「施設管理的には、良くありませんね」と謝罪した。
意図的に閉めなかったのではなく「単なる閉め忘れ」。北海道の自衛隊といえば、つい先日も空包と間違えて実弾を発射する「不祥事」が明るみになったばかりだ。