腹七分目長生き法 腹ペコになると現れる奇跡の「長寿遺伝子」 毎日30%カロリー減の食事がツライが...

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「長寿遺伝子」は健康バロメーター100項目を改善する

   なぜ、カロリーを減らすと老化現象が遅れるのか。古家教授によると、「長寿遺伝子」と呼ばれる「サーチュイン遺伝子」が重要な働きをする。サーチュイン遺伝子は、2000年に米マサチューセッツ工科大のレオナルド・ガレンテ博士らによって発見された。すべての動物が持っている遺伝子で、ふだんは眠っていて働かないが、飢餓状態になると活動を開始する。

   細胞内でエネルギーを作りだすミトコンドリアを増やし、細胞内の老廃物を除去する。また、細胞を傷つける活性酸素を排出し、細胞を修復して若返らせる。人体を工場にたとえると、古い機械装置を次々と更新する働きをするのだ。人間の健康度を測るバロメーターは70~100項目あるが、そのほとんどを改善するという。古家教授はこう語った。

「素晴らしい働きをしますが、この遺伝子のスイッチがオンになるのは飢餓状態になった時です。動物や人類の歴史は飢えとの戦いでした。食べ物がない状態が続いても生き延びられるように、危機の時にサーチュイン遺伝子が働く生体メカニズムが備わってきたのでしょう」

   必要カロリーの25~30%減ほどの「腹ペコ状態」が続くと、長寿遺伝子が「よし、私の出番のようだ」と眠りから覚めてくるというわけだ。古家教授は2011年、実際に人間で実験を試みている。30~60代の男性4人の協力を得て、1日に必要なカロリーを25%減らした食生活を7週間続けてもらい、サーチュイン遺伝子の活動状況を調べた。サーチュイン遺伝子が活動しているかどうかは、遺伝子が作り出す「サーチュイン酵素」の量を調べるとわかる。

   その結果、わずか3週間後にサーチュイン酵素の量が1.4~1.6倍に増加、7週間後には4.2~10.0倍にまで増えた。細胞にエネルギーを送るミトコンドリアの量も平均で44%も増加した。人間でもカロリー制限をすると、サーチュイン遺伝子が活発化することが裏付けられたのだ。また、4人の体重、体脂肪、内臓脂肪面積、血圧、中性脂肪、体内の炎症マーカー、インスリン値も測定すると、インスリン値以外はすべて改善していた。体全体が7週間前より健康になったわけだ。

   古家教授は最後に「最近の様々な研究で、カロリー制限によってリラックス効果があがり、睡眠や性機能まで改善することがわかっています。サーチュイン遺伝子を活性化させるには、男性なら1日の推定必要エネルギーである2400キロカロリーの75%の1800キロカロリー、女性なら2000キロカロリーの75%の1500キロカロリーに制限することをオススメします。加えて塩分を控えて運動を心がければ、必ず長生きにつながります」と語った。

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