覚醒剤使用などの罪などに問われた清原和博被告に対する判決は、「懲役2年6か月、執行猶予4年」だった(2016年5月31日)。本人は更正を誓ったが、球界復帰への道は険しい。
有罪判決である。前科がつく。最悪のスター選手の末路といえる。
「ユニホーム姿を見たいというファンの気持ちは分かるが」
「覚醒剤の依存症は深刻だが、反省し、覚醒剤に二度と手を出さない、と誓っている」
「野球界において社会的貢献をしてきたが、事件が大きく報道され社会的制裁を受けている」
東京地裁の裁判官は、判決の理由を述べたうえで、こう付け加えた。
「あなたは一人ではない。両親、友人、地元の人たち、全国のファンが更正を望んでいる」
注目すべき裁判官の指摘があった。プロ野球の監督など指導者を望んだが、どの球団からも声がかからず、そのプレッシャーから逃れるために覚醒剤を使用した、とする清原の言い分を認めなかったことである。
野球と覚醒剤は関係ない、としたわけである。
確かに、清原は現役時代、だれもが認めるスラッガーだった。高い年俸を手にし、名声も得た。ユニホームを脱いでも、成績という数字とファンの拍手にすがったが、全球団は言動と素行から判断して指導者には不向きとみた。そのギャップが清原は分からなかったのだろう。
清原は今でも球界に復帰したいと願っていると思う。しかし、現実は大変厳しい。
「プロ野球に戻る可能性はない、といっていい。オファーを出す球団はまずない」
「もう一度、ユニホーム姿を見たいというファンの気持ちは分かるが、清原のためにチームすべてを犠牲にする球団はない」
球界の本音である。
「本人がどうしたいかを聞き、それから支援したい」
清原の打撃技術を若者に教え、将来のプロ野球選手を育ててほしい、との野球人の声はあるけれども、日本社会はそれほど懐は深くない。
「まず会い、本人がどうしたいかを聞き、それから支援したい」
こう言ったのは、公判に出席した友人で野球評論家の佐々木主浩。男意気は評価する。清原がもっとも頼りにする野球人といえる。更正プログラムの後、球界との縁を復活させるプログラムを組むことになる。
あれほどのプレーヤーが、バカなことを...と思っているのがプロ野球に携わる人たちである。それ以外の感想はない。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)