安倍首相「お約束と異なる新しい判断」 あの消費増税「断言」の限りない軽さ

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   安倍晋三首相は2016年6月1日夕方、首相官邸で会見し、17年4月に予定されていた消費税率10%引き上げの時期をさらに2年半延期し、19年10月にする意向を表明した。当初は15年10月とされていた10%への引き上げ時期は14年11月に延期が発表され、その際、安倍首相は「再び延期することはない」ことを「断言いたします」と会見で明言していたが、この「断言」を覆した。安倍首相は、第1次政権でも続投を「お誓い申し上げます」と述べた2日後に退陣表明した「前科」がある。

   「断言」や「誓い」といった言葉を使いながら、一転してひるがえす振る舞いが繰り返されている。こういった批判が出る可能性に配慮し、「批判があることも真摯に受け止める」と、安倍首相としては異例の低姿勢を見せたが、2年前の断言という言葉を限りなく軽くした記者会見となった。

  • 消費税率引き上げの再延期を表明する安倍晋三首相
    消費税率引き上げの再延期を表明する安倍晋三首相
  • 消費税率引き上げの再延期を表明する安倍晋三首相

「『公約違反』の批判真摯に受け止める」

   安倍首相は14年11月18日、当初は15年10月だとされていた税率引き上げの時期を1年半先送りすることを記者会見で発表した。会見では、安倍首相は

「来年(15年)10月の引き上げを18か月延期し、そして18か月後、さらに延期するのではないかといった声がある。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年(17年)4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」

と述べ、衆院を解散して、信を問うとした。その14年12月の総選挙で自民党は大勝している。

   今回の会見では、「世界経済の不透明感」を背景に、消費増税は「内需を腰折れさせかねない」などと引き上げ再延期の理由を説明。14年11月の自らの発言にも冒頭発言の中で言及した。

「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束と異なる新しい判断。『公約違反ではないか』とのご批判があることも真摯に受け止めている」

などと理解を求め、冒頭発言の最後に

「国民の皆さんのご理解とご支持をお願いしたい」

と正面に向かって頭を下げたが、「断言」を覆したことに対する陳謝の言葉はなかった。

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