北海道七飯(ななえ)町の山林で小学2年生の男児(7)が置き去りにされた後、行方不明になってから5日目の朝、陸上自衛隊が捜索に加わった。
子供1人の捜索に大人数の自衛隊が派遣されるのは珍しいともいえるが、このタイミングでの自衛隊投入となったのは、なぜなのか。
町役場「人命を第一に考え、判断」
男児が行方不明になったのは2016年5月28日夕のこと。父親が警察に通報し、同日夜から捜索が始まった。翌29日には警察と消防が約150人態勢で捜索を行い、30日、31日にはさらに範囲を広げたが、手がかりは得られなかった。
6月1日朝からは、警察と消防に自衛隊70人以上が加わり、約200人態勢での捜索となった。
派遣を要請したのは、地元・七飯町だ。
「人命を第一に考えると、一番の方法だと判断した」
そう話すのは七飯町役場の担当者。
同役場では行方不明が明らかになってから、北海道庁とやりとりし、子供1人の捜索に自衛隊の派遣要請が可能かを確認したり、函館市で29日に山菜取りをしていて行方不明になった人の捜索に「災害派遣」をした事例の聞き取りを行ったりしていたという。その上で5月31日、正式に道知事を通じて自衛隊の派遣を要請した。
町が行方不明になってからすぐに要請しなかったのは、大和くんの両親の説明が変化したことが関係しているようだ。
両親は当初、山菜採りの最中にはぐれたと説明していたが、29日になって「しつけのために山に置き去りにした」と打ち明けた。
両親の説明変化し、「より広範囲で捜索を行う必要」
町役場の同担当者によると、「『山菜採り』ということだったので、最初は道警察、消防、町役場で協力しながら捜索し、平坦な道なので、ローラー(作戦)をかけていた」。
だが、「置き去り」に変わったことで「男児が断崖絶壁など危ないところへ行っている可能性も出てきた。滑落したり、衣類がひっかかったりと、小さな可能性も含めて考えるべきだということになった」。
自衛隊はより深いところまで捜索することができる。町役場では「より広範囲で捜索を行うため」要請を決めたという。
1日は、家族からの要望があった置き去り現場の北側にある駒ケ岳の中腹を重点的に捜索しているという。だが、1日18時時点まで発見されたという報道や手がかりにつながる情報はない。