「フリーライター内川たまき氏と連絡可能な方を探しています」――。ゲーム情報サイト「インサイド」が深夜に、こんなタイトルのお知らせ文を掲載した。
1か月半前に届いた原稿送付メールを最後に音信不通になっているといい、「何かご存知の方がいらっしゃいましたら、編集部までご連絡ください」と呼びかけた。しかし実際は、このフリーライターは実在せず、文書は異色の企画記事だった。
「無事に見つかると良いですね」「知ってる人は連絡してあげて」
「弊誌で記事を寄稿しているフリーライターの内川たまき氏との連絡が取れない状況が続いており、お知らせとして本稿を掲載しています。連絡可能な方がいらっしゃいましたら、担当編集者が探している旨をお伝え頂きますと幸いです」
こんな説明から始まる文書が掲載されたのは、2016年6月1日0時のこと。
曰く、内川氏とは4月下旬の原稿送付メールを最後に連絡がつかなくなってしまったという。この原稿は6月にフリュー社から発売される新作ゲーム「Caligula -カリギュラ-」の特典CDを解説した特集記事で、実際に5月25日にはインサイド上で公開されている。
編集部は、さらに続けて、内田氏の原稿には「意味深な記述」があったと指摘。編集前の原稿には同ゲームの世界観や楽曲に対する「過剰な記述」が散見されたともいい、同作に関連した場所も調査しているとしていた。
読者からは「なんか妙に説明的」「PRなのか本物なのか分かりづらい」と宣伝の可能性を指摘する声も出ていたが、「無事に見つかると良いですね」「知ってる人は連絡してあげて」「警察に通報した方がいいんじゃね?」などと、純粋に心配する声もあがっていた。
すると公開から約2時間後、インサイド編集部は突然記事を取り下げ、お詫び文を掲載した。
記事は「カリギュラの企画記事として、弊誌が独自に作成したものであり、内川たまきというライターは実在しません」と打ち明け、「お客様に誤解を与え、ご不快に思われる表現がありましたことをお詫び申し上げます」と謝罪したのだ。