釈明会見ではツイッターでの歯切れの良さ消える
民進党の「勇み足」は、その20日ほど前にもあった。5月10日、衆院厚生労働委員会に民進党が参考人として呼ぼうとしていた筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の岡部宏生(ひろき)さんが出席できなくなった問題だ。東京新聞などが「与党側が反対」したためだと報じたことを受け、山井氏はツイッターで、
「前代未聞の障害者差別が国会で起こるとは!障害者差別をなくす先頭に立つべきなのが国会です。ALS患者の参考人出席に反対した与党は猛省すべき、と、私は記者会見で述べました」
などと怒りをぶちまけた。ところが、このツイートは後に削除されることになった。他党から異論が続出したためだ。公明党の伊佐進一議員は
「委員会の場にいましたが、事実は異なります!民進が難病患者の方を呼びたいと理事会にはかり、委員長はOK。すでに出席登録されてたものをなぜか、民進党みずから差し替えました」
とツイートし、おおさか維新の会の浦野靖人議員も、
「事実と違いますね。理事会でも委員長一任となり、渡辺委員長が了としました。その後に参考人を差し替えたのは民進党自身。仮にですが、意図的にこの様な報道を狙っての事なら許されない」
と同調した。厚生労働委員会の渡辺博道委員長(自民党)も会見して
「推薦者である民進党が取り下げた」
などと話した。
山井氏ら民進党も反論の会見を開いたが、ツイートのような、一方的に与党を攻撃する歯切れの良さは消えていた。会見に出席した委員会野党筆頭理事の西村智奈美議員によると、与党側が「(内閣提出の)児童福祉法の提案理由の説明とセットでなければ岡部さんの招致は認められない」などと伝えてきたため、こういった取引には応じられないなどとして岡部さんを呼ぶことを断念せざるを得なくなったと説明。山井氏は、
「民進党側は最後の最後まで、岡部さんをお呼びしたかった。ところが残念ながら与党の意向で、断念せざるをえないように追い込まれた。ところが色々批判が厳しいので、与党側は『いやいや、民進党が取り下げた』と今になって言い始めているが、私たちが自主的に取り下げる理由がない」
などと理解を求めた。
不信任案は5月31日夕方、衆院本会議で賛成124票、反対345票の大差で否決。野党は攻め手に欠く状態が続いている。