量販店側も「(影響は)ほとんど出ないと思います」
実際、03年の規制緩和の影響で、コンビニやドラッグストアが相次いで酒類販売に参入。価格競争が激化したことで、中小の販売店は廃業・撤退に追い込まれた。国税庁が発表している「酒類小売業者の概況」を見ても、酒を販売する業態のうち小規模店が占める割合は激減している。規制緩和前の2001年度は69%だったのが、13年度には31.3%まで減少している。
「対応が遅すぎるんですよ、何を今さら・・・」。これは、先述の酒店経営者の漏らした言葉だ。同店は入手困難な日本酒などを揃えた専門店だったため、量販店などの攻勢から「生き残る」ことができた。だが、周りの一般的な酒店は次々と倒れていった。地元の酒店販売組合は、加盟店の減少から3月に解散したばかりだという。
「(法案改正の影響は)全く出ないでしょう」。こう話すのは、大阪のK酒店(仮称)店主だ。「『まちの酒屋』は、人がお酒を買う選択肢から外れつつある」との見解を述べ、「ちょっと価格を規制したところで、状況が変わるとは思えない」とも続けた。
では、一方の量販店側はどのように見ているのだろうか。大手スーパーの業界団体である日本チェーンストア協会の広報担当者は取材に対し、
「過度な安売りはそもそも独禁法での取り締まり対象でしょう。スーパー業界としても、これまで通りのルールに従ってやっていくつもり。(法案の成立による影響は)ほとんど出ないと思います」
と話す。「わざわざ個別の法案を作る必要はあったのでしょうか」との疑問も口にしていた。