ディスカウント店などによる酒の「過剰な安売り」を規制する改正酒税法が、2016年5月27日の参院本会議で可決、成立した。仕入れ価格を下回るような価格設定を禁止することで、小規模な販売店を救済する狙いだという。
法改正に対しては、酒類の価格が「値上がりするのでは」と心配する消費者からの反発が強いだけでなく、「守られる側」とされる中小の酒店経営者からも、規制の効果を疑問視する声が出ている。
改正法の成立うけ、全国小売酒販組合中央会は歓迎コメント
今回の改正で、財務相が酒類の販売価格に「公正な取引の基準」を新たに定め、従わない製造業者には業務改善命令を出したり、販売免許を取り消したりすることが可能になる。ディスカウント店などの過剰な安売りを規制することで、苦境に立つ「まちの酒屋」を救済する狙いがあるという。
改正法成立を受け、全国小売酒販組合中央会は同日、「大きな意義を有する」と歓迎する松田武会長名のコメントを発表した。
ただ、「救済対象」のはずである中小の酒店経営者からは、冷淡な反応も。読売新聞は、改正法成立直前の5月25日付朝刊で、「個性的な品ぞろえなどで大手に対抗する酒店が増えており、安売り規制の恩恵は考えられない」とする東京都内の酒店経営者の話を紹介していた。また、改正法が成立した27日にJ-CASTニュースが東京と大阪の酒店店主に話を聞いたところ、いずれも同様の反応が返ってきた。
都内で酒店を営む40代男性は取材に対し、「いまさら安売りを規制したところで、何も変わらないでしょう」と答えた。
「いま生き残っている酒販店は、量販店と『住み分け』ができている店がほとんど。一般的な酒販店はもう淘汰されてしまっていますよ。ですので、ビールなどの安売りを規制したところで、意味がないんじゃないですか」