ネット駆使して「需要と供給」を一致させる
だが熊本市では、「右肩下がり」になる前に歯止めをかけた。これはネットの効果もあった。市社会福祉協議会のフェイスブックでは5月8日夕方、休み明けのボランティア数減少が予想されるとしたうえで、「センターではまだまだ多くのご依頼をいただいており、皆様のお力をお貸しいただきたい状況です」と呼びかけた。この投稿にはシェア数86件と、他の投稿より多くなっている。熊本市の大西一史市長がツイッターで繰り返しボランティアの不足を訴えたのも奏功したようだ。平日でも500~600人、週末には1000人ほどがセンターに受付に来て、スタッフを安心させた。
フェイスブックの活用で、人数の確保には中川さんは手ごたえを感じているようだ。悪天候の日は募集人数を制限するが、事前告知するとセンターまで来る人数が減るので「ずいぶんご覧になっているんだな、と感じます」。それでも、当日センターに来てから作業の割り当てがなく「無駄足」を踏む人はいる。依頼側の急なキャンセルもあり、「需要と供給」をピタリ一致させるのは難しい。だが今は、「被災者を助けたい」と活動を希望する人の「足を止めてはならない」と、とにかく多くの人に来てもらおうとの方針だ。活動に参加できない人が出た場合は中川さん自らわび、理由を丁寧に説明したうえで「ぜひまた助けに来てほしい」と伝えるのだ。
時間の経過とともに、ボランティアの活動内容も変化してきた。被災した家屋の片づけでは、初めは「力仕事」が求められたが、「これからは細やかな作業が出てきます。ぜひ主婦の人、ボランティア未経験の人にも来ていただきたい」と中川さんは呼びかける。被災地では短期間で復旧・復興が完了するわけではなく、息の長い支援が必要だ。 「フェイスブックやネットで発信する際は、協力いただく人に『また来てほしい』とのメッセージを一貫して送り続けています」。
間もなく被災地では梅雨の時期を迎え、気温が上昇して被災者にとっては厳しい気候になる。それだけにボランティアを「イベント」で終わらせず、2度3度と活動に携わるリピーターを増やすことが急務になっている。