ビタミンDは骨の育成に重要な役割を果たす。牛乳や魚といった食品から摂取するほか、日光浴で皮膚の中で生成できる。
ところが近年、日光をたっぷり浴びている人でもビタミンDが不足しているとの研究結果が発表された。本当なら、従来の説が覆されることになるが......。
日焼けしている人の7割がビタミンD「正常値以下」
「新説」を唱えたのは、ブラジル・ペルナンブーコ大学医学大学院のフランシスコ・バンデイラ氏らだ。ブラジル在住の13~82歳の男女986人に、どの程度日光を浴びているかを調査し、各人の皮膚のタイプや血中ビタミンD濃度との関係を調査した。全員日焼け止めの使用や、ビタミンDサプリメントの服用はしていない。日光を浴びた程度は、「日焼け指数」として「全く浴びていない」をゼロ、「終日浴び続けている」を100として数値化した。
分析の結果、被験者の72%がビタミンD欠乏症状態だとわかった。その中には、日焼け指数「70以上」の人もいた。さらに日焼け指数が高い被験者を見ると、70%の人は血中ビタミンD濃度が1ミリリットル当たり20~26ナノグラムで、正常値とされる同30ナノグラムを下回った。
十分に日光浴をしているはずなのに、ビタミンDが不足しているとの結果に、バンデイラ氏は、過度な日光がビタミンDの合成を阻害していると推測している。