【男と女の相談室】赤ちゃんが前触れなく命を落とす 安全なはずの「おくるみ」が危ない

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

寝返りできるようになったら使っちゃダメ

   研究チームは、過去に発表された米国や英国、豪州など4件の論文を分析、SIDSで死亡した乳児760人のケースを一人ひとり検証し、そうでない乳児1759人と比較した。その結果、「おくるみ」を使っていた乳児は、SIDSで死亡するリスクが使わない乳児に比べ50~60%高かった。また、「おくるみ」を使ってうつ伏せに寝かせると、死亡リスクは使わない乳児に比べ13倍にも達した。これらのリスクは、乳児が自分で寝返りできるようになる生後6か月に近づくにつれて上昇した。

   研究チームのレイチェル・ムーン博士は「今回の研究では、おくるみを使うとなぜSIDSのリスクが高まるのか、直接的な因果関係は証明できませんでした。各国によって、おくるみの定義が違うことなどが研究の限界になりました。しかし、子どもが寝返りできるようになったら、おくるみは使ってはならないこと、そして、うつぶせや横向きに寝かせてはいけないことは確かです」と語っている。また、論文にレビュー(論評)を付けた別の専門家も「睡眠時のおくるみはすべて推奨しない」とコメントしている。

   遺族や医療関係者らでつくるNPO法人「SIDS家族の会」のウェブサイトを見ると、同会のメディカルアドバイザーである東京都保健医療公社多摩北部医療センター小児科の小保内敏雅医師が、「おくるみ」について、こう注意を呼びかけている(要約抜粋)。

「おくるみ中に突然死したヨーロッパの22症例の報告では、15名がうつ伏せで発見されました。おくるみは、寝返りを抑制すると思われていても、寝返りをしてしまうことがあります。寝返った場合、腕がきつくおおわれているため、首を回転させて窒息を防ぐ姿勢をとることができず、むしろ危険が増してしまうでしょう」
「また、1名は非常に体温が高い状態で発見されました。(おくるみによる)温め過ぎが突然死の誘因と考えられます。おくるみを使う時は布の材質を慎重に選ぶことが必要です。さらに、2名はやわらかいベッドに寝かされており、これに伴う窒息と診断されています。これらの報告から、おくるみはすべてにおいて安全というわけではありません。おくるみに慣れていない乳児には当初から危険が伴うことを認識し、十分観察できる状態で始めることが肝心です」
1 2
姉妹サイト