安倍首相の「言葉」に違和感覚える人々 消費増税「再延期」で豹変

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「財政出動は一時しのぎ」

   安倍首相の豹変ぶりに、違和感を覚えた専門家らは少なくないようだ。

   2016年5月27日付の日本経済新聞で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所の嶋中雄二所長は「世界経済がリーマン危機前の状況に似ているというのは言いすぎ」と指摘した。たとえば、「いまの(商品価格の)低下のスピードはリーマン後より緩やか」で、「中国経済も底入れしつつある」とみている。また、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「財政出動で国際協調を目指すことを、国内で消費増税を先送りする説明にしたいという構図」としている。

   J‐CASTニュースの取材に対して、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト、熊野英生氏も「ちょっと違うな、という感じ」と、違和感を口にする。

   熊野氏は「リーマン・ショック前というのは米国発の金融バブルが弾け、米金融機関のリスクテイクが行き過ぎた結果に起ったものです。しかし、現在は景気の回復基調が鈍く、思うように加速しない状況のリスクです。この段階での財政出動というのは、一時しのぎでしかありません」と説明。「成長戦略によって供給能力の高度化を図る必要があります」という。

   そもそも、消費増税は「社会保障と税の一体改革」が目的。少子高齢化の進む日本の社会保障を持続可能にすることや、社会保障の財源を若者につけ回ししないで、可能な限り現役世代の責任でまかなうようにすることが目的のはずだ。

   熊野氏は、「消費税の再延期は『社会保障と税』の問題の先送りでしかありません」とも指摘している。

   安倍首相は27日のサミット閉幕にあたっての記者会見でも、明確に「増税先送り」は表明することはしなかった。6月1日ともされる正式決定の際、安倍首相はどのような説明をするのだろうか。

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