政治資金問題について、東京都の舛添要一知事が3度目の会見を行い、また独自の弁解を繰り返した。しかし、ネット上では、「苦しい言い訳」だと厳しい声が出ている。
政治資金を使ってヤフオクで絵を落札していた舛添氏は、今度は、国内の視察で美術館ばかり回っていたことが報道で明らかにされた。
「共通の入場券を関東近辺の美術館で同時に発行」
前回は、国際交流のツールなどとして絵を使っていると舛添氏側は説明していた。ところが、今回の不可解な美術館巡りが発覚したことで、舛添氏の個人的な趣味だったのではないかとの指摘が出ている。
舛添氏は、2016年5月27日の定例会見で3度目の説明を行い、冒頭で頭を下げて政治資金問題をお詫びした。質疑に入ると、早速、美術館巡りの質問が記者から飛び出した。
4月までの1年間で53回の視察の7割超に当たる39回が美術館や博物館だったのは、「何のためか」と聞かれたのだ。これに対し、舛添氏は、次のような弁明をした。
「これはですね、文化振興、とりわけ2020年大会の東京オリンピック・パラリンピックがございますので、文化プログラムというのが同時にございます。例えば、共通の入場券を関東近辺の美術館で同時に発行していただくということのお願いも兼ねて回っています」
視察日程が非公開になっていたことも問題になったが、この点についてはこう述べた。
「基本的にどこの美術館を視察しようということは、私の判断であります。そして、これは公務であります。ただ、美術館に参ったときに、ほかの鑑賞者がおられますので、ご迷惑をおかけしたくないということで、そういう扱いをさせていただきました」
そのうえで、マスコミが同行しないことを条件に今後は公開したいとの意向を示した。
「知事がわざわざ足を運ぶようなことなのですか?」
舛添要一氏は、都知事選では介護や待機児童の問題を優先的に取り組むと公約していた。しかし、53回の視察では、介護施設や保育所はゼロだったことから、会見でその理由も問い質された。
これに対し、舛添氏は、「そういうご批判があることもきちんと踏まえまして、反省すべきは反省し、しっかりと今後改めるべきは改めたい」と答えた。事実上、こうした問題を優先しなかったことを認めた形だ。
五輪のときに導入するという共通の入場券について聞かれると、隣接3県の美術館の館長に会って、外国人が競技を見た後に便利なように夜8時まで開館することも含めてお願いしてきたと強調した。
ただ、記者からは「知事がわざわざ足を運ぶようなことなのですか?」と疑問が出た。この点について、舛添氏は、「結局は、局長や課長が行っても、最終的な大きなガイドラインが示せませんので」と言うに留まった。
こうした舛添氏の弁明ぶりについて、ネット上では、「こういうお願い、わざわざ視察しないと出来ないの」「知事がやる仕事では無いんだがw」「どう見ても、苦しい言い訳」といった疑問や批判が次々に寄せられている。
舛添氏の政治資金問題については、共産党が百条委員会の設置を唱え、民進党は調査チームを作って、6月1日開会の都議会で追及する構えだ。与党の自民・公明両党はまだ態度をはっきりさせておらず不透明な部分が多いが、舛添氏は、百条委出席について会見で聞かれると、「議会のご指示や決定に従います」とだけ述べた。