血栓を溶かすには30分の無理ない運動でOK
できてしまった血栓を溶かす秘策はあるのだろうか。
医療の現場では、「t-PA」という脳梗塞の治療薬が重宝されている。脳の血管に血栓が詰まってから4時間半以内に使えば、血栓を溶かし、後遺症がほとんど起こらなくなるという特効薬だが、一瓶で20万円と高価なものだ。
お金をかけずに自力で溶かす方法はないのか。
浜松医科大学医生理学講座・浦野哲盟教授「実はt-PAは血管の内側の血管内皮細胞で作られていて、血液の中を流れている。いらない血栓をすぐに溶かしてくれる」
体内のt-PAは、1日30分の有酸素運動でパワーアップすることができる。
散歩程度の軽いものでOKで、外出が面倒だという人は室内で30分間足踏みをするだけでもよい。
普段ほとんど運動をしない9人が、自分に合った運動を3週間続けたところ、血栓を溶かす力が1.5倍~4.2倍アップした。この力は運動の前後だけ上昇するのではなく、運動を継続していけば、パワーも持続するという。
激しい運動ではどうなのか、こちらは宮森さんが実験した。
エアロバイクを負荷を高めながら15分間こぎ、心拍数200を超えるほど体を限界まで追い込んだところ、運動前より何と21倍も血栓が溶けやすくなっていた。
ただ、激しい運動の効果は一時的で、血管内皮細胞にためているt-PAを放出しているだけで長続きしないそう。結局30分程度の有酸素運動を継続して行うのが最も効果的とのことだ。
運動する時間帯は問わないが、血液が固まりやすい午前中に行うのがベストだ。起きてすぐでは体が脱水状態になっている場合があり、高血圧の人にとっては危険でもあるので、コップ1杯の水を飲むなどして水分をとり、1時間ほどゆっくりしてから行うと安全だ。