正当な理由がなく名古屋大学に侵入したとして、東京都内在住の無職の男性(23)が愛知県警に逮捕された。この男性は、「ナンパ目的だった」と供述しているというが、逮捕までする必要はあったのか、と関心を集めている。
千種署の発表や名大の広報渉外課などによると、男性は2016年5月25日午前、名大の東山キャンパスの校舎1階で複数の女子学生に声をかけていた。
全国の大学でナンパ、名大もツイッターで予告
不審に思った男子学生らが男性に声をかけると、男性は走って逃げた。学生のほか、大学の職員も外まで追いかけ、駅近くの路上で取り押さえた。職員が110番通報し、駆け付けた警察官が建造物侵入の現行犯で男性を逮捕した。
調べに対し、男性は、「間違いない」と容疑を認めているという。26日には、身柄送検された。
この男性は、ネット上で「偽ラガー」と称していた人物だ。15年8月、甲子園球場で「ラガー」と呼ばれる人らがバックネット裏を占拠していたのに対し、席の取り合いをした様子を自らツイートして一躍脚光を集めた。
そのときも、甲子園などでナンパしていることを書き込んでいたが、最近は、「目指せ専業主夫」などとして、全国の難関大学でナンパ行脚をしている様子をツイッターで実況中継していた。東北大は、16年5月19日に男性名で女子学生に執拗に声を掛けていたとして、不審者情報をメールで学生に流す騒ぎにもなっていた。
しかし、男性はそれでも、名大と北大でナンパをすると予告し、逮捕前日の24日に名古屋入りしたこともツイートしていた。
このことは、ネット上で話題になり、実際に男性に声を掛けられたとの報告も相次いだ。男性も、「本気で一目惚れして声をかけました(^-^)」と返していた。逮捕されたときの画像もツイッターに投稿され、路上で警察に取り押さえられてうずくまる姿が撮られていた。
ネット上では、男性の逮捕について、賛否が分かれている。
「逃走した場合など必要性があれば認められる」
男性の逮捕は当然だとする声も多く、「よっぽど不審な見た目だったんだろうな」「大学が想定すること以外の理由で入るのは禁止じゃね?」「そのうち捕まると思ってたよ」などと書き込まれた。
一方で、「これで逮捕するというのも少々やり過ぎでは」「痴漢ならともかくナンパだろ」「過剰な反応に思えるんだけど」と警察などの対応に疑問を呈する声も次々に出ている。
千種署の副署長は、J-CASTニュースの取材に対し、今回は民間人が現行犯逮捕したとして、逃走した場合など必要性があれば認められると説明した。キャンパスに散歩などで入るのとは違う話だとし、大学側に構内の管理権がある以上、迷惑をかけるような不審者がいれば声をかけるのは当然だとした。男性が全国の大学でナンパ行脚をしていたことは、聞いていなかったという。
名古屋大学の広報渉外課では、職員らが男性を「逮捕」したことについて、次のように説明する。
「キャンパスはオープンになっており、一般の人でも入ることができます。しかし、ナンパ行為をするのは普通でないと思います。声を掛けたら逃げ出した不審者でしたので、今回のような対応になりました」
男性のナンパ行脚については、知らなかったとしている。