整水器やカートリッジの開発・販売を手がける日本トリム(大阪市北区)が、水素水をめぐるインターネット上の「誹謗中傷や風説の流布」について、異例の警告を行った。
具体的な事例は挙げない一方、「法律に則り厳正に対処いたします」と法的措置をほのめかせる強硬さで、ネットの注目を集めている。警告の真意は何なのか、同社に聞いた。
利用者や株主に「説明」するため
2016年5月25日に発表されたリリースは、「インターネット上等で、水素水に関する不確実な情報が流れておりますが、これらによる当社事業及び業績への影響はございません」と始まり、「誹謗・中傷や、風説の流布等の事実でないもの」は「法律に則り厳正に対処いたします」と明言されている。
同社は1982年創業の整水器メーカー。やや古いデータになるが13年7月5日付けのフィスコ調査によると、整水器のシェアは50%を超え、2位のパナソニックを引き離して国内ナンバーワンとなっている。主力商品は、アルカリ性で高い抗酸化作用を持つ「電解水素水」を作るカートリッジ型整水器や蛇口型整水器だ。この電解水素水には「胃もたれや胃の不快感をやわらげる」「胃腸の働きを助け、お通じを良好にする」といった胃腸症状の改善効果があるという。
そんな同社が今回「インターネット上の不確実な情報」に反応した理由は何だったのか。そもそも「不確実な情報」とは何なのか。
「ユーザー様や株主様への説明、という意味合いが強いです」
同社担当者はJ-CASTニュースの26日の取材にこう答える。背景には、水素水をめぐってネット上で持ちあがるさまざまな「疑惑」があった。その効果や宣伝手法に対する疑問の声は、今も尽きない。国民生活センターが3月10日、 水素水の活性酸素を抑える効能について公式サイト上で注意を促したことも大きかったようだ。
「文章自体が端的になりすぎた」
同社の今回の発表をうけ、ツイッター上では
「こんなんありがたがる人もいるんかなぁ」
「根拠なんてないくせに」
といった声も上がる。ただ、「電解水素水生成器」は厚生労働省の登録認証機関から認証を受けている。J-CASTニュースが調べたところ、12年と14年に同社商品が「連続式電解水生成器」の名前で認証されていた。同社によると、「電解水素水が持つ胃腸症状の改善効果に関しても認められた」と説明している。
「水素水に関しては、昨今さまざまな媒体に報じられたり、疑似科学の方々に言及されたりしています。効能の不明な商品と一くくりに扱われる中、ユーザー様や株主様から心配の声が寄せられました」
そんな声に対応すべく、今回の発表に至ったと話す。
なお、文中の「不確実な情報」や「誹謗・中傷」が具体的に何かを指しているわけではないという。
「法的措置を取る予定は現在のところ、ありません。あくまで『もしも』の話です。文章自体が端的になりすぎて、誤解を生んでしまいました。ただ、今後の状況によっては勿論、(法的措置を取ることも)あり得ます」