日本が8年ぶりに開く主要7か国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が2016年5月26日に開幕し、「ファーストレディー外交」も始まった。「アッキー」こと安倍昭恵夫人も、伊勢神宮境内を訪れたG7首脳や夫人に笑顔で語りかけ、「おもてなし」に一役買っていた。
安倍晋三首相が東京からサミット会場に移動する様子を次々に写真つきで投稿するなど、日ごろから活発なフェイスブック(FB)の更新もさらに充実させている。だが、その中には、移動中の電車の中から投稿したとみられる「実況状態」に近いものもあり、セキュリティーの観点からは議論も出そうだ。
安倍首相が車内に座っている写真を移動中の近鉄特急から投稿
昭恵氏は、5月25日12時14分、
「さあ、伊勢志摩サミットに向けて出発!」
という1行とともに安倍首相が東京駅のホームを歩いている写真と、新幹線のグリーン車の座席に座っている写真を投稿。14時50分には、新幹線車内でのツーショット、車内で食べたとみられる「東海道新幹線弁当」、名古屋から乗り換えた近鉄特急とみられる座席に座っている安倍首相、の3枚の写真つきで
「お昼ご飯は新幹線の中でお弁当」
と書き込んだ。17時12分には、車の中から撮影した写真つきで
「鈴木三重県知事、鈴木伊勢市長、お出迎えありがとうございました!」
22時32分には、写真5枚つきで
「伊勢神宮外宮、内宮を参拝後、サミット会場等を視察」
と投稿した。
報道各社による「首相動静」によると、安倍首相は0時10分の「のぞみ31号」でJR東京駅を出発し、13時49分にJR名古屋駅に到着。その後、14時10分発の近鉄特急で近鉄名古屋駅を出発し、15時32分に近鉄宇治山田駅に到着して鈴木英敬三重県知事らの出迎えを受けている。
これらを踏まえると、12時14分と14時50分の書き込みは、それぞれ新幹線、近鉄特急の中で書き込まれており、「実況」に近い状態だったことが分かる。
政府専用機の位置情報表示は問題視された
これらの書き込みには、安倍首相の活動を身近に感じてもらう狙いがあるとみられるが、一般的に首相が移動する行程を明かすことには十分な配慮が必要だとされる。その一例が政府専用機の位置情報だ。「フライトレーダー24(Flightradar24)」というウェブサイトやアプリでは、多くの航空機の位置情報がリアルタイムで表示できることが知られており、政府専用機の位置情報も表示されるようになっていた。これは航空ファンの中では半ば常識だったが、読売新聞が2014年になって、テロのリスクを念頭に
「専用機の動きは長期間にわたり『筒抜け』になっていたとみられる」
などと問題視。この報道を受ける形で防衛省がサイトの運営会社に政府専用機の位置を表示しないように要請し、表示されないようになったという経緯もある。
これ以外にも、昭恵氏は5月24日には、自らをデザインした似顔絵を使ったLINEのスタンプを発売したことをFBに投稿。様々な形でソーシャルメディアの活用を試みている。