仕事や学校に行っている場合ではない!―――2016年5月26日朝から全国のゲームファンは色めき立った。ゲームセンターなどに設置されているゲーム「艦これアーケード」でレアカードをゲットすれば40万円で買い取る、とトレーディングカード売買会社が発表したからだ。
このカードの他にも20万円、15万円、10万円で買い取るという「買い取り表」も出した。まるでちょっとしたギャンブルの様相だ。
ヤフオクでも1枚10万円を超える取引が多数
オブジェクション(埼玉県和光市)は、トレーディングカード売買サイト「トレッカ.com」を運営していて、16年5月25日に公式ツイッターで、
「買取表更新! 正直相場がさっぱり予想できないです。(笑) しかし攻めてますので是非宜しくお願い致します!明日の店舗解放は19-25時で行いますので持ち込みお待ちしております!」
とつぶやいて「買い取り表」を公開した。そこには「雪風 改 中破」40万円、「雪風 改 ホロ」20万円、「雪風 中破」15万円と書かれていたため、ゲームファンはド胆を抜かすことになった。この「雪風」というのは大人気プラウザゲーム「艦これ」のキャラクターの一人。セガが開発したアーケード版「艦これアーケード REVISION1」は4月28日から全国のアミューズメント施設で稼働をしていて、順次新キャラが投入されるなか、5月26日に初お目見えしたのが「雪風」だ。
「艦これ」のアーケード版はゲーム内で軍艦を建造するか、戦闘を終えた後などに新しい「仲間」(軍艦の少女キャラ)がゲットできる仕組みで、それがカードになって発行される。カードはゲームに使用するもので、手持ちのカードの選択で戦隊を編成し海に出て敵と戦う。手持ちのカードの種類が多いほど多彩な戦闘が楽しめるほか、コレクションとして保管するファンも多い。そのためヤフオクなどのオークションサイトに出品する人もいて、例えば5月26日の昼の時点で「おもちゃ、ゲーム」カテゴリの「艦これアーケード」で検索すると、2816件ヒットした。一般的なカードは数百円程度で取引されていて、レアカードはめったにゲットできないため10万円を超える高値が付くものもあった。
「これは今月俺の給料無いな...(笑)」
「雪風」のレアカードに40万円の買値が付いたことにネットでは、「働いてる場合じゃねぇ!!!!」などといった声があがり、
「40万ってww俺の給料以上ww」
「話題作りなんだろうけど無制限プレイヤーが持ってきそうで怖い」
「もはや、スロット台」
などといった書き込みが出た。本当に「雪風」のカードは40万円の価値があるのだろうか。実は、通販サイト「トレッカ.com」の公式ツイッターには5月26日にこんな嘆きがつぶやかれている。
「雪風査定ラッシュ...! これは今月俺の給料無いな...(笑)」
同サイトを運営するオブジェクションの小原順社長に26日、話を聞いたところ、40万円で買い取りするカードの予想相場は23万円、20万円と15万円は10万円程度なのだという。それを破格の値段で買い取る理由は、バイラルマーケティング。
「我々としては広告の位置付けにあります。普通に広告を出すよりもこうして話題になる事のほうが広告効果が高いと考えました。10枚出たら400万円。もちろん400万円しっかりとお支払しますが、正直言ってキツイ」
と小原社長は話していた。このレアカードの買い取りは同社店舗への持ち込みのみ受け付ける。高額買取をするのはオークションサイトで「雪風」の落札価格が出るまで。5月26日15時過ぎまでに、40万円の「雪風 改 中破」の持ち込みはまだないが、最終的に1、2枚は買い取れるのではないか、と小原社長は予想している。