高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
サミットとオバマ大統領の広島訪問 「中韓との違い」演出する好機

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   伊勢志摩サミットが、きょう(2016年5月26日)から開幕した。サミットでの世界のトップ間の議論ももちろん重要だが、その前後に日米首脳が会うのもポイントである。米大統領選はトランプ対ヒラリーになりそうであるが、不透明感が充ち満ちている。その前に、日本としても日米関係をできるだけ確固たるものにしておく必要があるのだろう。

   ところが、その直前に沖縄の元米兵による遺体遺棄事件が起こった。これは最悪のタイミングである。この機に、沖縄の翁長知事は「オバマに会わせろ」と、安倍首相に要求してきた。もちろん、その要求は筋違いであるが、安倍首相はオバマ大統領との25日夜の会談で、米に「強く抗議」といった。外交専門家の間には、個別事件で異例の言及という見方もあるが、それだけ今の日米関係が良好という証だ。会談の詳細な中身はわからないが、沖縄の在日米軍は出て行けという政治主張が増長しかねないので、政治的に「強く抗議」と言わせてもらうと安倍首相はオバマ大統領の了解もとっているだろう。

  • 広島の原爆ドーム
    広島の原爆ドーム
  • 広島の原爆ドーム

長年の日本外交の勝利

   さらに、沖縄での米軍犯罪率は、沖縄県民より低く、来日中国人や来日韓国人に比べるともっと低いこと、沖縄の在日米軍に出て行けということは日本の安全保障リスクを高めることも日本政府は承知していることを伝えているだろう。ひょっとしたら、トランプが、日本だけではなく韓国などからも米軍を撤退させるという主張は、どの程度実現するのかを、安倍首相はオバマ大統領にこっそり直接聞いているかも知れない。

   サミット前の日米首脳会談で、「強く抗議」と出ざるをえなかったのは日本政府としても誤算であっただろうが、サミット後の27日夕方のオバマ大統領による被爆地・広島訪問では友好ムードを盛り上げる。

   日本人なら、一度は広島・長崎の被爆関係地を見ているだろう。それらを見れば、普通の人間なら理屈抜きに核根絶と思うはずだ。アメリカ大統領が広島を訪問するのは、長年の日本外交の勝利である。

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