新緑が気持ちのいいドライブシーズンになってきたが、長時間の運転では紫外線が気になる。はたして車の窓ガラスはどの程度紫外線をカットしてくれるのだろうか?
2016年5月の米医学誌「JAMA 眼科学」(電子版)が、カリフォルニア州のボクサー・ウォッチラー視覚研究所を調べた車内に浸透する紫外線量の研究報告を発表した。それによると、多くの車のフロントガラスでは、平均で90数%カットするが、サイドガラスでは70%ほどしか遮断しないことがわかった。
長距離運転手は窓側の体に皮膚がんや白内障ができやすい
長距離ドライバーには、サイドガラスに近い側の顔や目に、皮膚がんや白内障が発症しやすい傾向があると指摘されてきたが、サイドガラスに紫外線を防ぐ能力が低いためであることが裏付けられた形だ。
同研究所は、世界の自動車メーカー15社から29車種を選び、車外・フロントガラスの車内側・サイドガラスの車内側の3か所で、紫外線A波(UVA)の照射量を測定した。調査の対象になった車は1990~2014年(平均2010年)までに製造された、一般に出回っているもの。
紫外線には波長の長いA波(UVA)と短いB波(UVB)がある。UVA はUVBのように肌の表面に炎症や日焼けを起こすことはないが、波長が長い分、皮膚の奥にまで浸透し、白内障や皮膚がん、老化の原因となる。
調査の結果、UVAが遮断される割合が、フロントガラスでは平均96%だったのに対し、サイドガラスでは71%だった。これは、フロントガラスでは安全のために「合わせ」ガラスが使用されるのに対し、サイドは「UVカット」を施しても1枚であることが多いためらしい。主な車種の結果は次のとおりだった。数字の左がフロントガラスで、右がサイドガラスだ(注:米国発売のタイプで、日本国内と仕様が異なる場合がある)。
(1)ホンダアコード(2013年型)97%・71%(2)ホンダCRV(2010年型)97%・60%(3)BMW3201(2013年型)97%・55%(4)ベンツ5550(2013年型)96%・95%(5)トヨタカローラ(2014年型)96%・67%(6)トヨタプリウス(2014年型)96%・79%など。