カンボジア国籍を取得したお笑い芸人の猫ひろしさん(38)が、念願だったリオデジャネイロ五輪のマラソン代表の座を射止めたと報じられ、ネット上で祝福が相次いでいる。4年前とは打って変わった反応だが、なお懸念を指摘する声もある。
「実力で勝ち取ったのならいいんじゃない?」「素直にすごいと思う」「カンボジアに骨を埋めるつもりで頑張って欲しい」
カンボジアにとけ込んでいる様子をSNSで紹介
スポーツ紙が現地メディアの記事などをもとに2016年5月24日から猫ひろしさんのリオ五輪出場が決まったと次々に報じると、ヤフー・ニュースのコメント欄などでこんな声が広がった。
猫さんを巡っては、12年3月にカンボジア五輪委がロンドン五輪代表に選んだと報じられると、ネット上で激しいバッシングが始まった。「五輪を利用した売名行為ではないか」「カンボジア人の気持ちを考えていない」といったものだ。
結局、国際陸連が国籍取得1年未満の人は1年以上の在住経験が必要という参加資格を満たしていないと結論を出し、猫さんのロンドン五輪出場はなくなった。
しかし、猫さんは、それでもトレーニングを積み重ねてきた。日本やカンボジアのマラソン大会にも次々に参加し、15年の東京マラソンでは、2時間27分52秒の自己最高記録を叩き出した。そして、迎えた16年5月8日のカンボジアでのリオ五輪代表選考会では、暑さの中で2時間44分2秒のタイムで優勝を果たした。ただ、五輪の参加標準記録には届かなかったため、カンボジア五輪委が協議して決めることになっていた。
猫さんが最近書いたブログやツイッターを見ると、5月上旬にカンボジア入りしてから、スコールに悩まされながらもひたすら走り込む様子などが写真付きで紹介されている。現地の人たちとの交流も紹介されており、カンボジアにある程度とけ込んでいる様子だ。
五輪でギャグやるのか、マネージャー「知らない」
ネット上で、前回とは違って好意的な反応が相次いだ背景には、猫ひろしさんのこうした奮闘ぶりがあったようだ。
とはいえ、なお懸念する向きがあるのも事実だ。
猫さんはカンボジアを踏み台にしているのではないかとして、「カンボジア人は、どう思ってるんだろう」「誉められた手段ではない」といった指摘が出た。また、ロンドン五輪代表に選ばれたとき、猫さんはマラソンのスタートやゴールでギャグを披露すると明かしていたが、スポーツの祭典にはそぐわないとして、「ネタは五輪ではしないでほしい」との声も上がっている。
猫さんは、手を広げて「ニャー」と猫の鳴き声をまねたり、「ポーツマス、ポーツマス」と声を上げたりする芸で知られる。代表選考会についてのツイートでも、野良犬に追っかけられたとして、「猫と犬のデッドヒート」とネタを披露していた。
所属事務所のWAHAHA本舗にJ-CASTニュースが取材したが、五輪本番でも芸を見せるのかについて、担当マネージャーは「知らないです」とだけ答えた。
ここ1、2年は、日本とカンボジアでの生活を半々ぐらいの割合で続けており、日本では、ライブに出たりするなどの芸能活動もしているそうだ。
五輪出場については、国籍取得から1年以上経っており、国際陸連の資格は満たしているとした。カンボジア陸連からは、代表の正式な発表がある2016年6月3日のスケジュールを空けておいてほしいと猫さんの代理人に連絡が入ったとしている。