北海道鹿追町の陸上自衛隊然別演習場で起こった実弾の誤射事故をめぐり、その原因を詮索する動きがネット上で盛んになっている。
事故は、射撃訓練中に発生した。本来は実弾でなく、空砲を使う予定だった。80発近い実弾が発射され、負傷者も出た今回の事故。実弾と空砲の違いになぜ気付かなかったのか、といぶかる声も多い。
陸上幕僚監部「過去にない事故」
陸上幕僚監部広報室によると、事故が起こったのは2016年5月23日15時半頃。ちょうど、北部方面後方支援隊の所属部隊約30人が参加する「援護射撃」の訓練中だった。訓練は、敵役と援護役に分かれ、行進中に襲撃してきた敵役に援護役が射撃を加えるといったものだ。
本格的な実地訓練ながら、使用する小銃に詰めるのは空砲。その弾丸は、訓練前に隊員へ配られたという。
しかし訓練中、銃口から出てきたのは実弾だった。合わせて79発が発射され、隊員2人が軽傷を負った。陸幕広報室はJ-CASTニュースの取材に「(隊員は)実弾で撃たれたわけではない」としながらも、「詳しい原因は調査中」と話す。さらに、「過去の類似事例は承知していない」とも明かした。
空砲と実弾は見た目、重さ、撃った際の音、感触も違うという。元陸上自衛官の佐藤正久・参院議員も24日、「実弾は弾丸が装着されており、空砲とは形状も違う。実弾と気づかずに実弾を弾倉に詰めることは通常は考えられない」と驚きを隠せない心境をツイートしている。
なぜ撃つ前に気付かなかったのか――。事故をうけ、ネット上にはそんな疑問の声があふれた。
「演習に参加した隊員も重さで気付かなかったのか?」
「実弾と空砲なんてみりゃ分かるのだが」
「ミステリーすぎる」
といったツイートが今も続々寄せられている。どのタイミングで実弾が混入したのか、誰が実弾を隊員に配布したのか、なぜ実弾を70発以上撃ち続けたのか、未だ不明点が多い事故と言えるだろう。