警察庁の検討会が2年前に「SNSも規制すべきだ」
これに対し、冨田真由さんの母親は5月4日、男の在住地に当たる京都府警に「娘が嫌がらせを受けている」と電話で相談した。府警は、冨田さんの在住地の警視庁に相談するよう言い、今度は冨田さんが9日、武蔵野署に相談に出向いた。
男のツイートなどを示し、「書き込みを止めさせてほしい」などと訴えた。事件前日の20日も、武蔵野署にライブ出演のことで電話したが、何かあったら連絡するよう言われただけだったという。
武蔵野署では、直ちに危害を加えるものではないと判断して、警視庁のストーカー担当部署に伝えず、SNSに書き込んだのが本人か調査が必要だとして、男に話も聞かなかった。
男は事件当日、JR武蔵小金井駅前で冨田さんを待ち伏せて声をかけたが無視され、冨田さんの後をつけて歩いた後に犯行に及んだという。この日も、朝から「人を何らかの行動に駆り立てるのはたいていの場合、意欲などではなく羞恥だ」などとブログに意味深な書き込みを続けていた。
男のSNS書き込みだけを見ても、冨田さんに危害が加えられる可能性は十分に考えられる。警視庁では、武蔵野署などの対応が適切だったか内部調査していると報じられているが、現行のストーカー規制法では、SNS書き込みだけで規制はできないようだ。
電話やメールは対象になっているが、SNSは対象外だからだ。
実は、警察庁の有識者検討会が14年8月、SNSによるストーカー行為は増加が見込まれるとして、「速やかに法律による規制対象とするべき」と報告書で提言していた。それにもかかわらず、法改正は実現しておらず、識者らからは、早急な対応を求める声が出ている。