熊本地震の発生から1か月が経ち、PRキャラクターの「くまモン」も、じょじょに活動を再開している。だが、人気だったツイッターやフェイスブックの更新は止まったままだ。ところが、日本語版以外の英語と中国語のフェイスブックでは、ひっそりと更新が再開。特に中国語版では「熊本のためにありがとうだモン!」などと、くまモン言葉を「音」で再現しつつ、支援への感謝を伝えている。
日本語版についても再開のタイミングをさぐっているとみられるが、この1か月ほどで英語・中国語のみでPRされたイベントもある。日本人にPRするための機会損失が生じているとの指摘も出てきそうだ。
1回の書き込みに5000~1万の「いいね!」
くまモンは地震から約3週間が経過した5月5日には県内の避難所などで活動を再開し、5月17日には都内のアンテナショップ「銀座熊本館」に出現。首都圏でも復活を遂げた。
だが、日本語でのソーシャルメディアの発信は24日夕現在、途絶えたままだ。
ツイッターは地震発生直前の4月14日夜の書き込みが最後で、フェイスブックの公式ページ「くまモンオフィシャル」の最後の更新は4月3日だ。地震前は週に数回のペースで書き込まれ、1回の書き込みごとに5000~1万の「いいね!」がつく人気ぶりだった。
くまモンは海外への売り込みを強めていることもあって、「多国語展開」を進めてきた。そのひとつが、13年夏に開設された中国語(繁体字)と英語のフェイスブックのページだ。中国語版のFBでは、くまモンは「酷MA萌」と名乗る。酷は「ku」と読んでcool(かっこいい)の意味だ。「萌」は「meng(モン)」と読む。
この2か国語については、地震からほどなくして更新が再開されていた。4月19日には義援金募集のお知らせが書き込まれ、5月に入ってからは、カバー写真の差し替えを含むと11回更新されている。
英語版と中国語版の内容はほとんど同じだ。例えば5月11日には、作業服姿のボランディアの肩を両手でたたくくまモンの写真と一緒に、くまモン語風に日本語へ訳すと以下のようなメッセージが書き込まれた。
【どうもありがとうだモン★】
「避難所や保育園で子どもたちや避難者と交流しました。知らない間に多くの子どもたちが集まってきて、もみくちゃになりました。すでにご存じのように、多くの人が熊本に来てボランディア活動に参加し、懸命に被災地を支援しています。
『熊本のためにありがとうだモン★肩もんであげるモン!』」
日本語版復活も「日程は決まっていないが、『もうそろそろ』」
一連の書き込みでは、J2ロアッソ熊本との交流イベント、「ばんぺい湯」として知られる日奈久温泉センター(八代市)、5月22日まで行われていた「水俣ローズフェスタ・春2016」などの様子が紹介されている。
熊本県のくまもとブランド推進課では、日本語版の再開について
「日程は決まっていないが、『もうそろそろ』」
と話している。くまもとブランド推進課では、フェイスブックの日本語版と、ツイッターアカウントの日本語版と英語版を運営しており、これら3つを「公式」と位置付けている。一方で、フェイスブックの英語版と日本語版は、県の広報課が運営。くまもとブランド推進課によると「県のPRをしているが公式ではない」という。