5月から6月は小中学校の運動会シーズン。しかし、会場にズラリとならぶテントの光景が異様だったり、終わった後の校庭に落ちているタバコの吸い殻やビールの空き缶など、いまネット上で、運動会での「保護者マナー」をめぐる問題が大きな注目を集めている。
ほかにも「シートの場所をめぐり親同士でトラブル」、「徒競走の結果にクレーム」など、今回J-CASTが複数の学校関係者に話を聞くと、子供の運動会で保護者が起こす「トンデモ行動」の数々が明らかになった。
校庭にずらっと並ぶテントは「難民キャンプみたい」
運動会をめぐる「マナー」が注目を集めるきっかけとなったのは、お笑いコンビ「ザ・ギース」の尾関高文さんが2016年5月21日に投稿したツイートにある。
「最近の小学校の運動会はフェス化してきてびびる」とのコメント付きで、保護者が張ったテントが校庭に密集している様子をおさめた画像をアップロードしたのだ。
尾関さんのツイートは24日現在で3000件以上リツイート(拡散)されるなど話題を呼んだほか、同日に「週刊SPA!」ウェブ版が紹介したことでさらに大きな注目を集めることになった。この様子に、ツイッターやネット掲示板には、
「自分の子供が出るとき以外はテントの中なのかな? なんか寂しいな」
「なんか難民キャンプみたいだな」
「もう屋内で運動会したらええんとちゃう?」
などと批判的なコメントが相次いだ。その一方で、「熱中症対策には必要」「日陰を作るのはいいことじゃない」と理解を示す声もあり、賛否が分かれている形だ。
実際、長野県の戸隠小学校では、5年ほど前から運動会時にテントを張る親が増えてきたといい、学校側も「紫外線・熱中症対策になるのであれば」と許可している。その一方で、都内のある小学校では、「学校・PTAの方針として、テントはご遠慮頂いている」という。
また、校庭に張られるテントの是非に加え、「飲酒・喫煙」や「ゴミのポイ捨て」など、運動会をめぐる保護者のマナーの悪さにも、ネット上で批判が出ている。
具体的には、「運動会当日は周辺の路上駐車が酷すぎる」「父兄向けのプリントには注意事項がずらっと並んでる」といった声がネット上に見つかる。なかには、一部の保護者のグループが、昼食時にバーベキューや酒盛りを始めたことから、学校側が校庭での観覧を禁止した例があるとの報告もあった。
シートの「場所取り」で親同士が喧嘩
実際のところ、運動会での保護者マナーの現状はどうなっているのだろうか。今回J-CASTニュースが複数の学校関係者に話を聞いたところ、驚きの実態が明らかになった。
神奈川県内の公立小学校につとめる20代の男性教師は5月23日のJ-CASTニュースの取材に対し、「親御さんのマナー?確かに悪いですね」と率直に話した。とくにレジャーシートの場所取りをめぐるトラブルが多発しているとして、
「学校側が指定する保護者の観覧スペース外に、勝手にシートを敷いてしまう親御さんは多いです。あと、シートの場所をめぐって親同士で喧嘩になることも結構ありますよ」
と呆れた様子で話す。テントを張ったりバーベキューをする保護者は「見たことがない」というが、運動会後には、校庭にタバコの吸い殻やビールの空き缶といったゴミが必ず放置されているという。
また、東京都内の中学校関係者は、「去年の運動会で本当に起きたトラブルなんですが...」と前置きした上で、
「徒競走の結果に、『うちの子の方が早かった』とクレームをつけてきた親御さんがいました」
と明かす。クレームをつけた親はゴール付近でビデオを撮影しており、その映像をもとに教師に対して「ビデオ判定」を要求したのだという。
この中学校関係者によれば、運動会で「子供より」熱中してしまう親が多いらしく、保護者席からの声援やヤジの大きさに困り果てた学校側が「親御さんは、お静かにお願いします」との放送を流したこともあったという。