図書館が新刊本の寄贈を求めるの「やめて!」 小説家が「本売れなくて死んでしまう」と訴える

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「借りる層」と「買う層」は異なっている?

   高岡市市立図書館にJ-CASTニュースが16年5月24日に話を聞くと、市内には6つの図書館があり人気の新刊には100人を超える予約者が付く。貸出期間は15日間で、次の人に渡るまでに3週間かかる場合もある。寄贈をお願いしているのは短期間にできるだけ多くの図書館利用者に読んでもらえるようにするためだと説明した。それでは寄贈してくれる人がいるのか、というとそうでもないらしい。

「ハードカバーのものについては、必ずしもいただけていない、というのが現状です。文庫本など、呼びかけていないものは多数来るのですが・・・」

   ちなみに、石原さんの「天才」もゼロだという。

   図書館での新刊貸し出しについてはこれまでも様々な議論があった。15年10月に開催された全国図書館大会では、新潮社の佐藤隆信社長が、売れるべき本が売れない原因の一つが図書館の貸し出しだ、と発言した。一般的に初版の9割が売れて採算ラインに乗り、増刷分が利益になるが、図書館が貸し出したため、あと一歩で増刷できなくなった本が多数ある。今後は、著者と版元の合意がある新刊を「貸し出しの1年猶予」を求めたい。その要望書を15年11月にも図書館側に送る予定だ、などと語った。

   J-CASTニュースが16年5月23日に日本図書館協会に取材すると、要望書はまだ届いていない、という。また、出版不況の原因については、

「売り上げが落ちているのは図書館が新刊を貸し出しているから、というのとは別の要因だと思いますよ。借りたら買う人が減る、ということもないと考えます。なぜなら、借りる層と買う層は異なっているからです」

と説明した。

   一方、全国の図書館で新刊本の寄贈を求める動きがあることについては、買いたくても買えない「予算不足」を理由に挙げた。1990年半ばから公立図書館の図書購入費は下がり続けている。これは地方財政の悪化が影響していて、図書購入費だけでなく図書館職員の人員削減も起こっている、と明かした。仮に、全国の公立図書館が新刊の寄贈を求めたとしても、

「全く影響がない、とは言えないかもしれませんが、あったとしても極めて微々たるものだと思います」

と話していた。

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