伊勢志摩サミットが「消費増税」延期のハードルに? 「財政出動」での一致に安倍首相がこだわるワケ

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参院選、そして衆参同日選の目玉対策

   サミットにおける財政出動での協調にまい進する安倍首相の視線の先には、言うまでもなく参院選、そして、ことによると衆参同日選がある。熊本・大分の地震に対応する補正予算成立に続き、5月中をめどに「一億総活躍プラン」などの政策メニューをそろえ、秋の臨時国会でも景気対策の補正予算を編成する方針もぶちあげるのは、既定路線だ。

   サミットで政策協調をまとめ上げ、「世界のリーダー」として指導力をアピールするのは、選挙対策として大きなポイントだが、そこに、2017年4月に予定される消費税率の10%引き上げを延期するかどうかの決断が絡む。首相はサミットの議論を踏まえて判断すると表明しているが、首相の狙いについて、「増税は財政出動の逆方向の政策であり、財政出動での協調で合意すれば、『消費税増税の延期が日本の最大の財政政策』と、大手を振って消費税増税延期を決められる」(全国紙経済部デスク)という見方が強い。

   ただ、年明け以降の市場の不安定な動きも、原油相場が1バレル=40ドル台に戻すなど、このところ落ち着いてきている。国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、今年の成長率は米国2.4%、ユーロ圏1.5%、日本0.5%、世界全体でも3.2%。「全般にそう悪くないから、財政赤字を増やす財政出動でG7が協調するはずがない」(エコノミスト)との声も目立つ。

   G7財務相会議でも、6月の英国の国民投票でEU離脱が決まれば金融市場が大混乱しかねず、いまや世界経済の最大のリスクというのが共通認識だったとされ、「2月のG20のころの世界経済への危機感は薄れ、財政出動の重要度は後退した」(霞が関関係者)ともいわれる。安倍首相がどういう政策合意をまとめ、消費税増税をどう決断するか。ギリギリの調整が続くことになる。

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